いよいよフリーランス!フリーランスになるときに必要な退職時の手続き・準備とは?
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環境の変化やキャリアアップ、またはライフステージが変わったことで、フリーランスとして第一歩を踏み出す方は年々増えてきています。
とはいえ、いざ会社員を退職することになったとき、どのような手続きが必要なのか、どのような流れなのか具体的に知らないという方も多いのではないかと思います。
そこで、この記事では退職時の手続き・流れ、勤務先に返却するものや受け取らなければならないものなど、必要なことを解説します。
退職前にやっておくこと
フリーランスになるとき、一番に考えて苦労しがちなことといえば金銭面になります。
退職前に必要な手続きを完了して、少しでも不安な点がないようにしていきましょう。
クレジットカードの作成
フリーランスになると、会社員と比べて社会的な信用を得ることが難しくなります。
それにともなって、新しくクレジットカードを作ることも比較的難しくなります。
そのため、会社員のうちにこの手続きを済ませておくことで、後々の安心につながります。
退職金の確認
退職金については、金額や支給条件、そもそも企業によっては支給自体の有無が分かれることもあります。
そのため、退職金があるのかどうか、またどのような流れになっているかを確認する必要があるでしょう。
退職金の規定については、会社内の就業規則や賃金規定を確認しましょう。
就業規則に付随する「退職金規定」では、退職金の支払い日や支払われる金額など、退職についての詳細が記載されています。
退職手続きの流れ
退職する前の準備について解説したところで、次はいよいよ退職をするとなったときの手続きの流れについて解説します。
退職意向の表明
まずは退職したいことを勤務先に伝えましょう。
期限が定められていない正社員での雇用契約だと、民法上は2週間前までの申告で問題ありませんが、実際には退職の意思を伝えるのは1ヶ月から3ヶ月ほど前に伝えることが多いとされています。
しかしながら、企業によっては申告時期について就業規則に記載がある場合もありますので、その場合には就業規則に従うことが必要です。
また、退職意思を伝える相手については、不要なトラブルを回避するため、一番先に直属の上司にしたほうがよいでしょう。
もし、退職したい旨を伝えても引き止められるかもしれません。
そのような場合にも、労働者には退職の自由があるうえ、原則として申告から2週間で雇用契約が終了すると民法で定められています。
そのため、退職を引き止められたとしても、退職することを押し通しても全く問題はありません。
退職日の調整、退職願の作成
退職意思を伝えたあとは、退職願を作成しましょう。
退職願は、法的には提出する義務はありませんが、就業規則に記載がある場合もあります。
そのような場合には、一度上司などに確認するとよいでしょう。
もし退職願を作成する必要がある場合には、手書きでもwebサイトで提供されているテンプレートを利用しても問題ありません。
その際、退職願に最低限必要な項目は以下のとおりです。
・退職理由
・退職希望日
・提出する年月日
また、混同されがちな「退職届」や「辞表」がありますが、この時点ではまず作成しません。
なお、退職願を作成する際には、あらかじめ退職日を上司などと相談しておくことをおすすめします。
業務引き継ぎ、挨拶回り
提出した退職願が受理されたら、次は退職前に業務の引継ぎを行います。
スムーズな引継ぎには、最終出社日から逆算してスケジュールを立てていくことがおすすめです。
また、引継ぎの際には、後任者に向けて資料をまとめておくことも必要です。
後任者がすぐ決まらない場合もあるため、資料を作るときは「誰が見てもわかりやすい」ものである点がポイントです。
引継ぎと同時に、取引先との関わり合いがある場合には、挨拶回りも必要となることがあります。
挨拶回りの際にすでに後任者がいる場合には、同時に取引先に紹介するとよいでしょう。
しかしながら、企業によっては退職の旨を社外に伝えることを良しとしないこともあります。
挨拶回りが必要かどうかについては、勤務先の意向に従うことにしましょう。
最終出社
これまでの必要な手続きが終わったら、最終出社になります。
最終出社日には、退職の挨拶をするのはもちろんですが、備品の返却や必要な書類の受け取りも重要な点になります。
一部書類では、勤務先に申請が必要なものもありますので、事前に確認が必要です。
また、返却するものや受け取るものは漏れがないよう、あらかじめチェックリストを用意しておくとよいでしょう。
返却するもの・受け取るものについては次の項目で解説します。
退職時に勤務先に返却するもの
退職時に勤務先に返却が必要となるものは、ざっくり分けると以下のとおりです。
- ・健康保険被保険者証
- ・身分証明書
- ・会社から支給されているもの
- ・資料・データなど
次はこの項目について、それぞれ解説していきます。
健康保険被保険者証
勤務先で支給されていた保険証は返却する必要があります。
自分のものだけではなく配偶者や子どもなどの扶養家族分も含め、勤務先から支給されているすべての保険証を返却します。
また、保険証は退社すると無効となりますので、次の保険証が発行されるまでの間は、医療機関の受診時は全額負担となります。
そのため、退職後の医療機関の受診時には、現金を多めに持っていくことをおすすめします。
身分証明書
この身分証明書とは、代表的なものだと下記のようなものが挙げられます。
- ・社員証
- ・名刺
- ・カードキー
- ・社章
これらのものは、その企業の社員であることを証明するものになりますので、返却を忘れてしまうと問題になってしまう場合もあります。
身分証明書は漏れなく返却しましょう。
会社から支給されているもの
会社支給の備品や経費で購入したものに該当するものは、筆記用具など細かいものでも返却が必要です。
具体的に返却するものとしては、下記のようなものが多いかと思います。
- ・パソコン
- ・タブレットなどの端末
- ・スマートフォン
- ・携帯電話
- ・顧客情報(取引先の名刺も含まれる)
- ・筆記用具(費用が会社負担のもの)
- ・書籍など(費用が会社負担のもの)
- ・制服
- ・作業服
資料・データなど
作成した書類やデータなどの業務に必要なものも返却が必要になります。
もっとも注意しなければならないものが、パスワードなどの機密情報などが記載された契約書などの書類やデータになります。
機密情報を社外に持ち出したことによる情報漏洩などのリスクがありますので、確実に返却するようにしましょう。
退職時に勤務先から受け取るもの
退職時に返却が必要なものを解説した後は、逆に勤務先から受け取らなければならないものを解説します。
具体的には下記のようなものがありますが、後日交付となるものもあり、退職日にすべて受け取れるものばかりではありません。
- ・雇用保険被保険者離職票
- ・雇用保険被保険者証
- ・退職証明書
- ・源泉徴収票
- ・年金手帳
雇用保険被保険者離職票
一般的には、この書類は離職票と呼ばれるものです。
この書類は、離職したことを証明する書類であり、失業給付の受給申請などを行うために必要なものです。
離職票は、住んでいる住所地のハローワークが発行しており、退職日から10日以内に郵送で届きます。
もし2週間以上経過しても届かない場合には、いつ届くのかなどの確認をすることをおすすめします。
雇用保険被保険者証
これは雇用保険の加入時に発行されるもので、一般的には離職票と呼ばれるものです。
退職後には、失業給付や教育訓練給付金の需給や再就職時に必要になる書類です。
企業が保管しておらず、すでに手元にある場合は受け取りの必要はありません。
この書類を紛失してしまった場合には、雇用保険被保険者番号が分かればハローワークで再発行が可能です。
もし雇用保険被保険者番号が分からない場合には、勤務先に確認したり、離職票に記載がありますのでそこで確認することができます。
退職証明書
先ほど開設した離職票と似たような書類ですが、こちらは勤めていた企業から退職したという事実を証明する書類になります。
退職証明書は企業に申請して、企業が発行するものになります。
離職票は公的文書で発行が義務付けられていますが、この退職証明書は指摘文書であり、発行義務はありません。
退職証明書の利用の用途としては、保険や年金、失業給付の手続きがあります。
ほかの企業に転職する場合には、転職先に退職証明書の提出が必要なケースもありますが、フリーランスはこのケースには該当しません。
源泉徴収票
源泉徴収票は、年間の給与額と支払った税額が記載された書類です。
退職後、1ヶ月以内に交付することが義務付けられています。
フリーランスとして独立すると、確定申告も自分で手続きが必要になります。
翌年の確定申告で必要となりますので、漏れなく受け取りましょう。
なお、源泉徴収票は勤務していた企業が発行していますので、退職後1ヶ月以上経過しても交付されていなかったり、紛失してしまった場合には、勤務していた企業へ確認が必要です。
年金手帳
年金手帳は、勤務先の企業が基礎年金番号を確認するために必要なものです。
すでに2022年4月に年金手帳自体が廃止されているうえ、企業が年金手帳を預かっておく義務はないために手元にある方もいるかもしれません。
もし企業に提出して預けていた場合には、年金手帳を受け取っておきましょう。
万が一、年金手帳を紛失してしまった場合には、日本年金機構から基礎年金番号通知書を発行してもらえます。
また、マイナンバーでも基礎年金番号と同様の手続きが可能です。
退職後に行う手続き
最後に、退職後に必要な手続きについて解説します。
どれもフリーランスとして第一歩を踏み出すための重要な手続きになります。
これまでの解説とともに、後で困ることのないようしっかり確認しておきましょう。
健康保険の切り替え
日本は「国民皆保険」を採用しており、原則として全ての国民が何らかの公的な医療保険に加入する必要があります。
健康保険はいくつか種類があるため、それぞれ解説していきます。
国民健康保険へ加入する
フリーランスとして独立した場合、企業には勤務しないため基本的には国民健康保険への加入が必要になります。
この加入手続きは、原則として退職日の翌日から14日以内に行う必要があります。
自分の住んでいる地域の市区町村の役所で手続きが可能です。
また、国民健康保険への加入手続き時には下記のものが必要となります。
- ・健康保険の資格の喪失日がわかる書類(離職票や退職証明書などの退職職日が記載された書類)
- ・身分証明書(運転免許証など)
- ・マイナンバーが確認できるもの
- ・印鑑
なお、納付額については前年度の所得額や市区町村によって異なります。
この国民健康保険への加入について注意したい点については、フリーランスの場合は配偶者などを扶養に入れられないことです。
会社の健康保険と異なり、国民健康保険は家族分の保険料の納付が必要になります。
しかしながら、この国民健康保険は確定申告時の控除対象となります。
控除方法や計算方法などをあらかじめ調べておくことをおすすめします。
会社の健康保険を任意継続する
こちらは国民健康保険への加入を行わずに、勤めていた会社の健康保険を任意で継続する方法です。
任意継続をするメリットとしては、会社員の時と同様の給付内容があることです。
例えば、人間ドックの受診補助や保養所などの施設を利用することが可能です。
また、もし自分に扶養家族がいる場合にはメリットは大きくなります。
先に解説した国民健康保険は、扶養家族分の保険料を納付する必要があります。
しかしながら、こちらの方法では一定条件が満たされた場合には扶養家族分の保険料の納付は不要になります。
また、任意継続をするためには下記の通り条件が定められています。
- ・退職後20日以内に手続きを行うこと
- ・社会保険への加入期間が、資格喪失日の前日までに継続して2か月以上あること
これらのことから、もしフリーランスとして独立する際に遠方に引っ越す場合は、窓口も遠くなります。
手続きは退職後すぐに行いましょう。
なお、任意継続は手続き後1日でも保険料の滞納があった場合は脱退の対象になりますので、十分注意が必要です。
年金の切り替え
フリーランスになる場合、厚生年金ではなく国民年金に加入する必要があるため、切り替えの手続きを行いましょう。
切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に自分の住んでいる市区町村の役場で行う必要があります。
また、手続き時に必要な書類は以下のとおりです。
- ・基礎年金番号のわかる書類(年金手帳・基礎年金番号通知書)
- ・離職日が分かる書類(離職票など)
事業用の銀行口座作成
フリーランスは、すべての事務的な手続きも自分で行わなければならないため、仕事用の口座開設が必要になります。
仕事用の口座を開設しておくことにで、出納管理や利益の見える化が可能になります。
これは、確定申告の際の税金納入額などの計算がしやすくなるというメリットもありますので、口座の開設はおこなっておくのがおすすめです。
開業届の提出
開業届とは、個人事業の改行を税務署に知らせる届出のことです。
開業届を提出しなくとも特に罰則はありませんが、フリーランスは個人事業主として活動するため、提出しておいたほうがよいでしょう。
また、開業届は「事業を開始してから1月以内に提出」の旨が、国税庁のWebサイトに記載されています。
([手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm)
この開業届を出すことで得られるメリットも多数ありますので、それぞれ解説します。
フリーランスとしての自覚
フリーランスとして独立するとき、この開業届を提出することで、襟を正すような気持ちで今後活動をしていく自覚が生まれる方もいます。
気持ちの切り替えという点でも、開業届を提出することはおすすめできるといえます。
青色申告ができる
開業届と同時に青色申告承認申請書を提出することで、確定申告時に青色申告ができるようになります。
青色申告は申請の煩雑さがあって敬遠されがちですが、節税面では大きく優れています。
小規模企業共済に加入できる
フリーランスは会社員と異なって退職金制度がありません。
その点をカバーするために小規模企業共済というものがあり、この共済に加入することで退職時や廃業時に給付金が支給されます。
屋号付きの事業用銀行口座が作成可能
先に解説した、事業用口座の開設時に開業届を提出しておくことで、屋号付きの事業用銀行口座を開設することができるようになります。
銀行によっては、屋号付きの事業用銀行口座の開設時に開業届が必要となる場合があります。
証明書として役立つ
これまで解説したことから、開業届は事業主であるということの証明にもなります。
この証明は、保育園などの入園時や事務所の契約だけでなく、ローンの申込時にも利用できますので、メリットは非常に大きいといえます。
青色申告承認申請書の提出
先に解説で触れたように、青色申告を行うことで節税面では大きなメリットが得られます。
確定申告時には白色申告と青色申告があります。
青色申告では、帳簿付けや確定申告の時の書類作成の難しさもありますが、会計ソフトなどを利用することで難しさはだいぶ軽減されます。
フリーランスでは資金をしっかり管理することも大切ですが、節約できるところはしっかり節約していくことも重要です。
これらを踏まえると、青色申告承認申請書の提出はフリーランスに必須ともいえる届出です。
まとめ
ここまで退職までの流れとその後必要なことについて解説してきました。
正直なところ、たくさんの手続きが必要なために憂鬱な思いをすることもあるかと思います。
しかしながら、退職前後にしっかりと手続きを行っていくことで、フリーランスとして活動を始めたときの安心感が違ってきます。
安心できる点が少しでもある状態でフリーランスがスタートできることが、長くフリーランスを続けていく秘訣となっていくのではないでしょうか。
【著者】
Webデザイン&グラフィックデザイン 10年目
いろんなサイトを作ったり、システムのUI設計やサービスのUI/UX設計もしてきました。
また、CDジャケットのデザインや美容系のパンフレット制作など、ほんとにいろんなことをしています。
・三度の飯より車が好き。
北海道まで自走し、往復3,000kmの旅をしたことがあります。
・ネイリストの検定取得してますが、趣味にとどまったまま早何年・・・だれか練習台になりませんか?(笑)
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