SREエンジニアに必要とされる5つのスキル|役立つおすすめの資格も紹介
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SREエンジニアとインフラエンジニアの3つの違い
近年Googleが提唱する「SRE」という考え方に注目が集まっており、国内企業の中にもSREチームを構成して開発を行う企業が増えてきています。しかし実際には従来のインフラチームと大きな差がなく、SREチームとしての力が発揮できていないケースも多いです。
ここでは、SREエンジニアとインフラエンジニアの違いについて解説します。どのような違いがあるのか参考にしてみてください。
1:スキルセットの違い
SREエンジニアとインフラエンジニアはそれぞれ業務範囲が異なるため、求められるスキルセットにも違いがあります。
たとえば、インフラエンジニアはITインフラに関する知識やスキルが求められますが、SREエンジニアはインフラ関連の知識だけでなく、アプリケーション開発のスキルやアプリケーションに関する知見なども必要になります。
SREエンジニアはインフラエンジニアよりも幅広い技術力が求められると言えるでしょう。
2:業務範囲の違い
インフラエンジニアはITインフラのみが業務範囲となりますが、SREエンジニアの場合はサービスの信頼性を高める活動すべてが業務範囲となります。
たとえば、インフラエンジニアはサービスが稼働するための環境に対して責任を持ちますが、アプリケーションそのものに対しては基本的に対応することがありません。
一方、SREエンジニアはアプリケーションも業務範囲に含まれるため、インフラ周りの業務だけでなく、アプリケーションの修正も対応することがあります。
3:方法論の有無による違い
インフラエンジニアやSREエンジニアは、「何をどのようにするべきか」という方法論にも違いがあります。たとえばインフラエンジニアの場合、企業によってインフラエンジニアの仕事の進め方には違いがあるでしょう。
一方、SREエンジニアの場合、方法論はGoogleが公開している「Site Reliability Engineering」で定められています。世界中のSREエンジニアはこの方法論にのっとって仕事を行うため、基本的に仕事の進め方も共通していると言えるでしょう。
SREとDevOpsの相違点
DevOpsは開発担当と運用担当がお互いに協力、連携しあうことでサービスを作り上げていくという考え方です。一方、SREは「Site Reliability Engineering」を略した言葉で、サービスの信頼性を向上して価値向上を行うための体制や実装方法を指します。
DevOpsはあくまで考え方や思想を指しますが、SREの場合は実装まで明言されている点が大きな違いだと言えるでしょう。
SREエンジニアの平均年収
SREエンジニアの平均年収に関しては調査結果がないため、はっきりとはわかりません。SREエンジニアに近い業務を行う高度SE・ITエンジニアの年収が780万円程度となっているため、SREエンジニアもこの金額に近い平均年収だと言えるでしょう。
また、エンジニア職はスキルや実績によっても年収には違いが出るため、経験を積み上げることでより年収をアップしていけるでしょう。
企業がSREエンジニアを必要とする理由
企業がSREエンジニアを必要としている理由としては、運用業務の効率化やWebサービスのパフォーマンス性の向上などが挙げられるでしょう。
ここでは、企業がSREエンジニアを必要とする理由を紹介していきます。
運用業務を効率化したい
SREエンジニアは、ヒューマンエラーの防止や作業効率向上のためにシステムの自動化を行います。SREエンジニアを導入することで、担当者のコストを抑えて運用業務を効率化できるでしょう。
SREが行う運用業務の効率化の内容としては、「エラーが発生した場合に自動的に別のシステムに切り替えるられるようにする」ことなどが挙げられます。
このような作業を行っておくことで、一時的な障害であれば人が作業を行わなくても自動的に対応できるため、担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
安定したパフォーマンスのWebサービスを提供したい
SREの目的は信頼性の高いシステムをユーザーに提供することです。Webサービスの信頼性を向上するためには、安定したパフォーマンスが必要になります。
SREエンジニアがプロジェクトに参加することでシステムに発生するリスクを事前に予測できるようになるため、サービスの安定性が向上できます。安定したサービスを提供できればユーザーからの信頼も集まり、結果的に企業にも利益をもたらすでしょう。
開発担当と運用担当の軋轢をなくしたい
SREエンジニアがサービスやアプリケーション開発に携わることで、様々な業務が効率化されます。そのため、開発だけでなく運用のフェーズでの負担を軽減することにつながります。
このように、SREエンジニアが業務に関わることで運用担当が開発担当に不満を感じるリスクを軽減できるため、両者の軋轢を無くすことにもつながるでしょう。
SREエンジニアが行う仕事内容
SREとは、サービスやプロダクトの信頼性を向上して価値向上を行うことです。そのため、SREエンジニアはシステム開発に関わるあらゆる作業を自動化、効率化し、開発工程の作業効率を向上させる役割を担っています。
ここでは、SREエンジニアが行う仕事内容について詳しく紹介していきます。
クラウドやシステムの環境整備
SREエンジニアの重要な業務として、まずはクラウドやシステムの環境整備が挙げられます。サーバー環境の最適化やミドルウェアのパフォーマンスの向上、自動化などを行います。
SREエンジニアがクラウドやシステム周りの整備を行うことにより、エンジニアは安定した環境で開発を行えるでしょう。また、クラウド上でコードの記述を自動化することにより、人的リソースを削減してより重要な業務に取り組めるようになります。
システムを自動化する作業
システムの自動化もSREエンジニアの業務の1つです。たとえばスプレッドシートの自動更新ツールやログの自動解析ツールなどを利用できるようになれば、エンジニアが自分で業務を行う必要がなくなるため、担当者の負担軽減にもつながります。
トラブル対応
ユーザーから信頼されるサービスを提供するには、リリースしたサービスにトラブルが発生しないように事前の対応を行うことが大切です。リリース後にシステムが利用できなくなれば、ユーザーからの信頼を失ってしまうでしょう。
そのため、SREエンジニアの仕事にはリリース前にトラブルやバグを解消することも含まれています。サービスをリリースする前にSREエンジニアが想定されるバグやエラーを予測し、開発チームと共に取り除いておくことで、高品質なサービスを提供できるようになるでしょう。
SREエンジニアに必要とされる能力
SREエンジニアとして業務を行うには、インフラだけでなくアプリケーション開発に関連した知識やスキルが必要になります。具体的には、クラウドサーバーやセキュリティー、ネットワークやデータベースなど幅広い知識が求められるでしょう。
ここでは、SREエンジニアに必要とされる能力を紹介していきます。
クラウドサーバーを構築及び運用する能力
近年では多くの企業がサーバーをクラウドに移行していることから、クラウドサービスの需要が増してきています。
また、クラウドサーバーを利用することで品質の高いWebサービスやアプリケーションの開発にもつながります。SREエンジニアを目指すのであれば、AWSやMicrosoft Azure、GCPなどのクラウドサービスを扱えるようになっておきましょう。
Webサービスを開発及び運用する能力
開発者が別にいたとしても、SREエンジニアがコードの修正などを行うことも多いです。また、Webサービスが問題なく動作するかどうかを確かめるためにも基本的な開発スキルは必要です。
具体的には、JavaやPythonなどWebサービス開発に利用されているプログラミング言語のスキルや、SQL、OSに関する知識などが求められるでしょう。
セキュリティーへの理解
SREエンジニアの業務内容にはサービスの保守は含まれていませんが、Webサービスを提供するにはネットワークにつなげる必要があるため、SREエンジニアにもセキュリティーへの理解が必要になります。
特に、APIのセキュリティーリスクに関する知識は身につけておくようにしましょう。
ネットワークやデータベースへの理解
SREエンジニアはシステムの土台となるインフラに関する業務も行うため、ネットワークやデータベースへの理解も必要になります。
SREエンジニアとしてサービス改善を行うためには、ネットワークプロトコルやミドルウェア、パフォーマンス改善に関する知識を身につけておく必要があるでしょう。
円滑なコミュニケーション能力
SREエンジニアを含め、どのようなエンジニア職でもコミュニケーションをとりながら仕事を行うことになります。
SREのメンバーや開発チームだけでなく、Webディレクターやデザイナーなどの職種と関わることもあります。あらゆる職種や部門間で情報共有を行い、業務を進めていくためにはコミュニケーションスキルが必要です。
円滑に業務を進められるようなコミュニケーション能力があると重宝されるでしょう。
SREエンジニアになるためのキャリアパス
SREエンジニアになるためのキャリアパスとしては、インフラエンジニアからSREエンジニアを目指すルートがあります。
前述のとおり、SREエンジニアの業務はインフラエンジニアよりも広範囲であるため、クラウド関連の知識や開発知識などの専門性を高めることによってインフラエンジニアからSREエンジニアを目指せるでしょう。
SREエンジニアの求人における募集内容の特徴
SREエンジニアの求人には様々な種類があり、開発するサービスが違えば求められるスキルも違ってきます。SREエンジニアの求人の中には資格がなければ応募できないような求人も多いため、SREエンジニアを目指すのであれば先に資格を取得しておくと良いでしょう。
SREエンジニアの求人の応募条件として設定されている資格としては、「Cisco Certified DevNet Associate」や「Linux技術者認定試験」などが挙げられます。
SREエンジニアの将来性
SREエンジニアの求人は、他のエンジニア職の求人と比較するとまだ数は多くありません。しかしユーザーが安心して利用できる信頼性の高いサービスを提供するには、SREエンジニアの存在が必要不可欠です。
そのため、今後SREエンジニアのニーズは増えていき、求人数も増加していくことが予想できるでしょう。
SREエンジニアに役立つおすすめの資格
前述のとおり、SREエンジニアの求人では応募条件で資格が指定されているケースがあります。SREエンジニアを目指すのであれば、関連した資格を取得しておくと良いでしょう。
最後にSREエンジニアに役立つおすすめの資格を紹介します。
Cisco Certified DevNet Associate
Cisco Certified DevNet Associateとは、ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズが主催している認定資格です。
ソフトウェア開発者やDevOpsエンジニアなどを対象とした資格となっており、合格するにはネットワークだけでなくアプリケーション開発やセキュリティー、APIなどの知識が必要とされます。
EXIN DevOps Professional
EXIN DevOps Professionalとは、DevOpsに関する技術力を証明できる資格です。試験ではDevOpsの概念や自動化通信、情報セキュリティー、変更管理などの知識が問われます。
DevOpsエンジニアやアジャイル実践者などを対象としている資格ですが、SREはDevOpsの基本概念がベースとなっているためSREエンジニアにも有効な資格となっています。
AZ-400
AZ-400とは、Microsoft社が認定しているDevOpsに関する資格です。試験ではセキュリティーやコンプライアンス計画の作成、ソース管理やログ管理などの知識を問われます。
また、SRE戦略の開発なども出題範囲に含まれているため、SREエンジニアにおすすめです。
AWS認定
AWS認定はAmazonが提供しているAWSに関する資格です。AWSはクラウドサービスの中でもシェア率が高いため、クラウドサービスの資格を取得するのであればAWSを押さえておくのがおすすめです。
また、AWSに関する知識がSREエンジニアの求人での要件になっているケースもあります。
Linux技術者認定試験
Linux技術者認定試験はLPI-JAPANが主催しているLinuxの試験です。試験はレベル1、レベル2、レベル3の3段階となっており、上位レベルを取得するには下位レベルの資格を取得しておく必要があります。
Professional Cloud Architect
Professional Cloud Architectとは、Google Cloud認定資格の中でもプロフェッショナルレベルの資格です。Google CloudもAWSと同じく代表的なクラウドサービスの1つとなっているため、SREエンジニアに役立つ資格だと言えるでしょう。
SREエンジニアを目指そう
SREエンジニアとは、ユーザーが安心して利用できるサービスを提供するために業務の自動化や効率化を行うエンジニアです。
本記事で紹介したSREエンジニアの仕事内容や必要とされる能力などを参考に、スキルを身につけてSREエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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