ロボットエンジニアとは?仕事内容や必要なスキル・向いている人の特徴も解説
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ロボットエンジニアとは?
ロボットエンジニアとは、名前のとおりロボットの設計や開発を行うエンジニアです。ロボットと聞いてもなかなかイメージがしにくいですが、産業用ロボットや医療ロボット、介護ロボットなど様々なロボットが人々の生活を支えています。
将来的には人との高度なコミュニケーションが取れるロボットが登場することも期待されているため、ロボット開発は私達の生活になくてはならないものとなっていくでしょう。
需要
普段生活をしているとあまり目にすることがないロボットですが、産業用ロボットや医療ロボットなど様々な分野で活躍しています。
また、ロボット開発に関わる仕事は将来的にAIやロボットに代替されることはないため、今後もロボットエンジニアの需要がなくなることはないでしょう。
平均年収
ロボットエンジニアの平均年収は、540万円程度と言われています。なお、ITエンジニア全体での平均年収は430万円ほどとなっているため、ロボット開発に携わるエンジニアの平均年収は高水準な傾向があると言えるでしょう。
プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーなどのマネジメント職の平均年収との差も少ないため、待遇が良いケースが多いと言えます。
将来性
ロボット開発はまだあまりメジャーなジャンルではありませんが、今後人々の生活をより豊かにしていくうえでニーズが高まっていくことが予想されています。将来的にはロボット産業の市場はさらに拡大していき、ロボットエンジニアの需要も増していくことが予想できます。
特に高齢化によって医療や介護分野で活躍するロボットの需要が増していくことから、ロボットエンジニアのニーズも高まっていくでしょう。
ロボットエンジニアの仕事内容
ロボットが活用される分野は様々であるため、ロボットエンジニアが開発するロボットの種類も多種多様だと言えるでしょう。
ここでは、ロボットエンジニアの基本となる仕事内容について解説していきます。
ロボットの用途や仕様の決定
ロボットエンジニアは、ロボットの用途や仕様を決定する段階からプロジェクトに参加することになります。ロボットの開発を行うだけでなく、現状の課題の分析やロボットを利用することで課題をどのようにして解決できるのかなどを検討する必要があります。
このようにプロジェクトの上流工程から携わるためには、クライアントがどのような課題を抱えているのか把握し、分析するためのコミュニケーション能力や想像力が必要とされるでしょう。
ロボットの設計・開発
プロジェクト計画が定まったら、ロボットエンジニアはロボットの設計や開発を行います。ロボットの開発現場ではセンサーや知能・制御、駆動など専門分野ごとに開発が進められていくため、ロボットエンジニアは分野ごとの開発状況を把握する必要があります。
そのため、エンジニアとしてのポジションだけでなく、マネージャーとしてのポジションで仕事をする必要があるでしょう。専門分野ごとの作業を横断的に把握するスキルは、ロボットエンジニアの経験を積み上げることで身につくでしょう。
ここからは、ロボット開発のそれぞれの専門分野について解説していきます。
感覚器官に当たる「センサー」の開発
「センサー」とは、ロボットの感覚を司る部分を指します。センサーは、人に例えれば感覚器官である目や鼻、耳、舌、肌などに該当するでしょう。
ロボット開発に用いられるセンサーには、上記のような馴染みのある外界センサーの他に、内界へ向けた内界センサーがあります。
外界センサーとしては、画像や音、感圧、湿度、味覚、においなどのセンサー、内界センサーとしてはロータリーエンコーダ、加速度センサー、インバーターなどが挙げられるでしょう。
頭脳に当たる「知能・制御」の開発
「知能・制御」とは、ロボットの行動を司る部分を指します。知能・制御は、人に例えれば頭脳部分に該当するでしょう。
ロボットにおける知能・制御はセンサーから得た情報をもとにコンピューターシステムをコントロールします。
ロボット開発では、開発段階ではパソコンを利用しますが、パソコンは大型であるため必要な機能を取捨選択することでマイコンへと切り替えるケースが一般的です。
手足となる「駆動部」の開発
「駆動」とは、ロボットの運動を司る部分を指します。駆動は人に例えれば歩く、蹴るといった動作が可能な手足に該当するでしょう。
ロボットの駆動系としては、モーターや動力伝達機構、アーム、ハンドツール、筐体などが対象となります。また、筐体に用いられる材料にも産業用ロボットとサービスロボットで違いがあり、鋼板の場合もあればアルミや樹脂が用いられることもあります。
ロボットの実証実験
開発しているロボットが形になってきたら、ロボットエンジニアは実証実験を行います。仕様のとおりにロボットが動作するかどうか、想定している役割が果たせるかどうかなど様々な環境の中で検証していきます。
また、実証実験を繰り返すことで、実用化できるようにロボットの完成度を高めていくことが重要です。
ロボットエンジニアに求められる知識・スキル
ロボットの開発には一般的なITエンジニアに必要なスキルの他に、最先端の工学系の知識やスキルが必要とされます。そのため、ロボットエンジニアを目指すのであれば早い段階から必要な知識やスキルを身につけておくことが大切だと言えるでしょう。
ここでは、ロボットエンジニアに求められる知識やスキルを紹介していきます。どのようなスキルを身につければよいのか参考にしてみてください。
1:数学の知識
数学は電気工学や電子工学、機械工学といった様々な学問を理解するための基礎となります。また、ロボットの知能・制御部分の開発に用いられている人工知能の開発にも数学の知識が必要となるため、数学は必須の学問になるでしょう。
特に微分積分、線形代数、確率統計などの分野は、ロボットエンジニアとして必ず押さえておきましょう。
2:電気・電子工学の知識
電気工学とは電気や磁気に関する物理法則、電子工学と半導体や電子機器に流れている電気の物理法則を研究する学問となっています。
ロボットエンジニアとして電気・電子工学の知識を身につけておけば、ロボットのセンサーやモーター、回路の設計などをどのように行えばよいのか理解できるでしょう。なお、電気・電子工学では数式を用いるため、前述の数学の知識を持っていることが前提となります。
3:プログラミングスキル
プログラミングスキルは、ロボットの知能・制御部分の開発を行うために必要なスキルです。ロボットエンジニアとして習得しておきたい言語としては、C言語やC++、Javaが挙げられるでしょう。
ロボットは組み込み系システムの一種であるため、これらの言語のスキルが必要となります。また、ロボットの知能・制御系の開発においてはPythonのスキルが必要とされるケースが多いです。
4:機械工学の知識
機械工学とは、機械を開発するための技術に関する学問です。機械工学に関する知識あれば、ロボットの駆動部分の設計や開発に役立ちます。
機械工学には大きく分けて「機械力学」「材料力学」「熱力学」「流体力学」という4つの学問があります。なお、機械工学も物理現象を表すために数式を用いるため、数学の知識を持っていることが前提です。
5:想像力
ロボット開発の現場では、既存のロボットを改良する業務もあります。しかし今後新しい領域に対して、ロボットをどのように活用していくのか検討していかなければいけないケースもあります。
そのため、どのようにロボットを利用すればよりよい社会を作っていけるのか想像するスキルも必要とされるでしょう。ロボットをどのように活用すれば良いのか考えるためには、常に好奇心を持って仕事に取り組む姿勢が必要とされるでしょう。
6:高い語学力
ロボット開発は日本国内だけでなく、海外のメーカーや大学などと協同で研究を行われるケースも多いです。海外メーカーとの技術交流などの機会も多いため、このようなチャンスを活かすにはロボットエンジニアにも語学力が必要とされるでしょう。
IT業界では最先端の技術が英語圏から発信されることが多いため、英語の語学力は必須となります。
しかし、近年では中国や韓国をはじめとしたアジア圏の躍進も著しいことから、アジア諸国の語学力も身につけておくことで、ロボットエンジニアとして幅広い領域で活躍できるでしょう。
ロボットエンジニアに向いている人の4つの特徴
ロボットエンジニアは幅広い知識やスキルが求められる職業であるため、人によって向き不向きがあります。ロボットエンジニアにもともと向いている人であれば、ロボット開発の分野で活躍できるでしょう。
ここでは、ロボットエンジニアに向いている人の特徴について解説します。
- 論理的思考に優れている人
- 向上心があり継続して勉強できる人
- 技術進化に適応できる人
- もの作りが好きな人
1:論理的思考に優れている人
論理的思考とは、物事を筋道立てて考える思考スキルのことです。何らかの問題が見つかった場合、矛盾なく考えて解決するためには論理的思考力が必要とされます。
論理的思考に優れた人であれば、ロボットを開発する際にも効率的な処理が行えるプログラムを開発できるため、ロボットの性能もアップするでしょう。
2:向上心があり継続して勉強できる人
本記事でも紹介してきたとおり、ロボットエンジニアとして働くためには数学や電気・電子工学の知識、プログラミング言語のスキルなど幅広い知識やスキルが必要とされます。
また、いずれの分野も一朝一夕で習得できるようなものではないため、ロボットエンジニアになるには努力が求められます。向上心を持って勉強を続けていける人は、ロボットエンジニアに向いていると言えるでしょう。
3:技術進化に適応できる人
ロボット開発に関する技術は日々新しくなっています。そのため、自分から最新の技術をキャッチアップし、ロボット開発に取り入れていけるような人はロボットエンジニアに向いていると言えるでしょう。
ロボット開発などの技術革新のスピードが速い分野で活躍するには、技術の進化にも対応していける素質が求められます。
4:もの作りが好きな人
ロボット開発はもの作りの一種です。ロボットエンジニアは課題を解決するためにどのようなロボットを開発すれば良いのか考え、実際に開発することになります。
そのため、もともともの作りが好きな人はロボットエンジニアに向いていると言えるでしょう。
ロボットエンジニアになる方法
ロボットエンジニアには工学系の幅広い知識が必要とされます。そのため、ロボットエンジニアを目指すのであれば工学系の大学などへ進み、専門的な知識を身につけるのが一般的なルートだと言えるでしょう。
ここでは、ロボットエンジニアになる方法を紹介します。
工学系の大学や専門学校で学びメーカーに就職する
ロボット開発を行うためには工学系の最先端の知識が必要になるため、ロボット工学が学べる工学系の大学や専門学校に進み、メーカーなどに就職するルートが一般的でしょう。
学校で必要な知識を身につけ、実際の開発現場で高度な技術を身につけていくことで、ロボットエンジニアとしてのキャリアを築いていけます。
システムエンジニアを経てロボットエンジニアに転職する
まずはシステムエンジニアとして入社し、スキルや経験を積んでからロボットエンジニアに転職するという方法もあります。システムエンジニアとしての経験を積むことで、IT知識やプログラミングスキルを身につけた状態でロボットエンジニアへとキャリアチェンジできるでしょう。
資格取得後に未経験可の求人に応募する
ロボットエンジニアの求人の中には未経験者でも応募可能な求人があります。しかし資格が求められるケースが多いため、必要な資格を取得してから未経験者可の求人に応募し、ロボットエンジニアを目指すと良いでしょう。
プログラミングスクールを利用する
大学や専門学校で学ぶ方法以外に、プログラミングスクールを利用する方法があります。近年ではオンラインで学べるプログラミングスクールも増えているため、働きながらでも手軽に学べるようになっています。
ロボットエンジニアを目指してプログラミングを学ぶのであれば、C言語やC++などを専門的に学べるスクールや、AI開発を含めたPythonのスキルを学べるスクールを選ぶようにしましょう。
ロボットエンジニアが習得すると役立つ資格
ロボットエンジニアとして働くために必須の資格はありません。しかし一般的なITエンジニアとは異なる知識やスキルが求められる仕事であるため、仕事に関わる資格を取得しておくのがおすすめです。
資格取得を通して必要な知識を身につけられることはもちろん、一定の知識やスキルを持っていることの証明にもなります。ここでは最後に、ロボットエンジニアが習得すると役立つ資格について紹介していきます。
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験とは、CAD(Computer-Aided Design)を扱うスキルを認定する試験です。CADはコンピューター上で機械の設計を行うためのツールであるため、CAD利用技術者試験の資格を取得しておけばロボットの設計を行う際にも役立ちます。
CAD利用技術者試験には「2次元CAD」と「3次元CAD」の2種類があり、基礎や2級、1級などのレベルがあります。
機械設計技術者試験
機械設計技術者試験とは、機械設計に関する知識やスキルを認定する資格です。一般社団法人「日本機械設計工業会」が実施している民間資格で、機械設計技術力を評価するものとなっています。
1級や2級を受験するには実務経験が求められるため、まずは3級取得から目指すと良いでしょう。
電気主任技術者試験
電気主任技術者試験とは、電気設備の工事の監督者として仕事ができる資格です。ロボット開発にも電気が用いられるため、役に立つ資格だと言えるでしょう。
試験には第一種、第二種、第三種試験があり、第一種と第二種試験には一次試験、二次試験があります。まずは、第三種の取得からチャレンジすると良いでしょう。
技術英語能力検定
技術英語能力検定とは、科学技術文書を英語で読み書きするスキルを測る検定試験です。公益社団法人「日本技術英語協会」が実施している資格で、ロボットエンジニアとしても求められる技術英語のスキルを証明できる資格となっています。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験はIT系の国家試験です。IPAが実施しているプログラミングスキルやITスキルなどを測る試験であるため、ロボットエンジニアに必要なプログラミングスキルの証明にもなります。
出典:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/
ロボットエンジニアを目指そう
ロボットエンジニアになるには、数学や工学など幅広い専門知識が必要になります。
本記事で紹介したロボットエンジニアの仕事内容や求められる知識やスキルなどを参考に、必要なスキルを身につけてロボットエンジニアを目指しましょう。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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