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フリーランスになるには?必要な手続きなど押さえておきたいポイントを解説

  • 公開日:2022-07-06 12:09:00
  • 最終更新日:2022-06-13 10:20:54
フリーランスになるには?必要な手続きなど押さえておきたいポイントを解説

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フリーランスという働き方の定義

イメージ図

フリーランスとは、企業などの組織や団体に属さずに仕事を請け負う働き方です。依頼される仕事に合わせてスキルや情報を提供し、対価として報酬を受け取ります。


会社員として働きながら個人で仕事を請け負っている、いわゆる副業はフリーランスとは別のものです。

フリーランスと個人事業主の違いとは?

女性

フリーランスと個人事業主の違いは、「開業届を提出しているか否か」です。


個人事業主とは「税務上の区分」で、法人を設立せずに税務署に個人事業の開業届を提出しているものを指します。


一方、フリーランスは会社員のように会社と雇用契約を結ばず、仕事ごとに業務委託契約などを結んで仕事をする人で、法人化している場合も含みます。


フリーランスの人でも開業届を税務署に提出すれば、個人事業主と名乗ることが可能です。


出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

フリーランスという働き方のメリット

女性

働き方が多様化した影響でフリーランスとして活躍する人が増えている中で、独立を検討している人も多いでしょう。ここからは、フリーランスという働き方のメリットについて紹介していきます。

定年や退職という概念がない

会社員の場合、まだ働ける体力がある人でも、会社の規定に定められた年齢になると定年退職しないといけません。


再雇用制度を取っている会社もありますが、定年前よりも雇用条件が悪くなってしまうケースも多く、これまで積み重ねたスキルや経験が無駄に感じてしまいます。


一方、フリーランスには定年や会社の都合で退職に追い込まれるということもないため、自分で辞めることを決めない限り年齢に関係なく働き方を維持できるでしょう。

収入のアップが期待できる

会社員の場合は、目標達成に合わせて報奨が与えられるインセンティブ制度が導入されている会社でない限り、いくら成果を上げても大幅な収入アップは期待できません。頑張っているのに給料が上がらないと悩む人も多いでしょう。


フリーランスの場合、自分が手掛けた仕事でもらえる報酬すべてが自分の収入になります。自分の持つスキルが競合相手のいないものだった場合、単価が高騰することもあるため、労働時間が少ないのに会社員以上の収入を得ることも可能です。


自分の持つスキルや働き方次第では、会社員のときよりも収入アップが見込めるでしょう。

比較的に柔軟な働き方ができる

会社員の場合は、会社が指定した場所で決められた時間に指示された内容の仕事をすることになります。早朝に家を出て、満員電車に揺られてという繰り返しに、大きなストレスを抱えてしまっている人も少なくないでしょう。


一方フリーランスは、自宅やカフェなど自由な場所で、好きな時間に働くことが可能です。受注する案件も自由に選べるため、不得意な仕事を無理にする必要がありません。

フリーランスという働き方のデメリット

男性

フリーランスという働き方には、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットだけでなくデメリットも理解した上で、フリーランスとして独立しても大丈夫か考える必要があるでしょう。


ここからは、フリーランスという働き方のデメリットについて紹介していきます。フリーランスへの転身を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

社会的に立場が弱い

フリーランスは会社員などに比べ収入が不安定であるため、社会的信用を得にくいでしょう。クレジットカードや賃貸物件、ローンなどの審査に落ちてしまうこともあります。


また、フリーランスは労働基準法が定める労働者ではないため、賃金や時間などの最低水準が保証されることもありません。低報酬で働かされたり、ある程度の収入を確保するために長時間労働し過労になったとしても、すべて自己責任になってしまいます。


このようにフリーランスは社会的立場が弱く、会社員のように守られないため、十分に貯金しておくなど事前に備えておく必要があります。


出典:労働基準法|e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

収入が不安定になる可能性がある

会社員であれば毎月同じ決まった額の給料が支払われますが、フリーランスの収入は不安定です。


フリーランスの場合は案件を受注し、納品してからでないと報酬は受け取れません。案件が受注できなければ報酬が受け取れないため、収入の変動が大きくなってしまいます。


会社員であれば、体調不良やケガなどで仕事ができない状態になっても休業補償がありますが、フリーランスにはそれもありません。


高収入を期待できる反面、収入が0になってしまう危険もはらんでいるのがフリーランスという働き方と言えるでしょう。

自己管理が必要になる

フリーランスは自分の裁量で決められる部分が多いため自由な働き方ができますが、すべて自己責任で行う必要があります。


会社員のように、スケジュールを管理してくれる上司も納期に間に合うように協力してくれる同僚もいません。案件の受注からスケジュールやタスクの管理、税務処理などすべての作業を自分で行うことになります。


プライベートの時間を確保しながら、納期に間に合うように案件をこなさなければならず、自己管理能力がなければフリーランスとして働くことは難しいでしょう。

フリーランスになるには何が必要?

男性

フリーランスになるには、事前準備が大切です。


フリーランスになると忙しくなり、スキルアップに必要な時間を確保できない場合が多いです。会社員時代の方が時間の融通が利くため、独立前にスキル獲得のための勉強をしておきましょう。


また、クレジットカードやローンなどフリーランスになると審査が通りにくくなってしまうものは、会社員のときに申し込みしておき、生活費や必要な出費分に合わせて十分な蓄えをしておきましょう。

フリーランスになる前に知っておきたい税金のはなし

計算機

フリーランスは確定申告から税金の支払いまで、すべて自分で行わなければなりません。税金について理解しておかないと、支払いの段階になって資金がないという事態に陥ってしまうことが考えられます。


フリーランスになるには、事前にどのような税金を支払うことになるのか理解しておくようにしましょう。

住民税

(個人)住民税は、ゴミ処理や公共施設の運営など身近な行政サービスに係る必要経費を住民の支払い能力に応じて負担してもらう目的で、都道府県や市区町村に支払う税金です。


住民税には所得の割合に応じて負担額が決まる「所得割」と、所得に関係なくすべての住民が一定額を負担する「均等割」の2つがあります。


その年の1月1日時点で市区町村(都道府県)に住所がある人に課され、フリーランスの場合は住んでいる自治体から送られてくる納税通知書で、年4回に分けて納めなくてはいけません。


出典:個人住民税|東京都主税局
参照:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html


出典:地方税制度|総務省
参照:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html

所得税

所得税とは、個人の所得に対してかかる税金です。 1年間の所得から必要経費や所得控除を差し引いた課税所得に税率をかけて計算されます。


ライターやデザイナーは報酬から源泉徴収されていることもありますが、基本的にはフリーランスになると確定申告を行い、自分で税金を納めなくてはいけません。


所得税の税率は5%から45%の7段階に分かれており、所得が高くなるほど税率が上がる仕組みが取られています。余分な税金を支払わないためには、必要経費や所得控除をしっかり差し引き、課税所得を抑えることが重要です。


所得控除には基礎控除や医療費控除、生命保険料控除などがあり、自分で申告しないと適用されません。何が適用できるか調べて、忘れずに申告しましょう。


出典:No.2260 所得税の税率|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm


出典:所得税のしくみ|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_1.htm


出典:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm

個人事業税

フリーランスになると、会社員のときにはかからなかった個人事業税というものを納めなくてはいけない場合があります。


個人事業税は、70種類の法定業種を営む個人が納めなくてはいけない税金です。年間所得が290万円を超えた場合に個人事業税が発生し、超えた部分に税率をかけて計算されます。


原則、税事務所などから送られてくる納税通知書で8月と11月の年2回に分けて納税することになりますが、事業廃止などが行われた場合には通知書に記載された期限に納めることになります。


出典:個人事業税|東京都主税局
参照:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ji.html#kj_4

フリーランスになるときに押さえておきたいポイント

確定申告

独立を検討しているけど、フリーランスになるにはどうしたら良いのか分からないという人もいるでしょう。ここからは、フリーランスになるときに押さえておきたいポイントを紹介していきます。

  • 必要な手続きや届け出をきちんと行う
  • スキルアップを図る時間を設ける
  • ネット環境やツールを整備する
  • 仕事探しや人脈づくりをする
  • 自分の仕事を発信する場を設ける
  • 仕事用の銀行口座を開設する
  • 確定申告を意識する

必要な手続きや届け出をきちんと行う

会社員からフリーランスになるには、自治体の役所や所轄の税務署に必要な手続きや届け出を行わなければなりません。ここでは、フリーランスになるために必要な手続きや届け出について紹介していきます。

開業届

新たに事業を開始したフリーランスは、事業開始から1ヶ月以内に所轄の税務署に開業届を提出しなければなりません。


開業届を提出することで、青色申告が利用できる、屋号付きの銀行口座を作成できるなどのメリットを得られます。


提出しなかったり、期限に間に合わなかったりしても特に罰則は用意されていませんが、フリーランスとして活躍しようと考えている人は、開業届を提出しておくようにしましょう。


出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

健康保険

会社員からフリーランスになる場合は、国民健康保険に切り替えるか、これまで加入していた健康保険組合の健康保険を任意継続(最長2年間)するか、家族の健康保険の被扶養者になるか決めなくてはいけません。


国民健康保険に切り替える場合は、退職から14日以内に自治体の国民健康保険の窓口で手続きする必要があります。


また、これまで加入していた健康保険を任意継続する場合は、決められた期間以内に健康保険組合で手続きをしましょう。家族の健康保険の被扶養者になる場合は、家族が務める企業で手続きすることになります。


出典:国民健康保険の加入資格|厚生労働省
参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21539.html


出典:会社を退職するとき|全国健康保険協会
参照:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3270/r147/

国民年金

フリーランスになる場合は、厚生年金から国民年金への切り替えも行わなくてはいけません。


退職日の翌日から14日以内に、住んでいる自治体の窓口で手続きを行う必要があります。手続きには、基礎年金番号通知書や年金手帳などの基礎年金番号が分かる書類が必要です。


自分で手続きしないと年金の未加入期間ができてしまうため、速やかに手続きしましょう。


出典:国民年金に加入するための手続き|日本年金機構
参照:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20140710-04.html

青色申告承認申請書

確定申告には、白色申告と青色申告があり、どちらにするか決めなくてはいけません。ある程度の収入が確保できることが分かっている場合は、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる青色申告がおすすめです。


青色申告する場合は、所轄の税務署に青色申告承認申請書を提出する必要があります。青色申告しようとする最初の年の3月15日まで(1月16日以降は開業から2ヶ月以内)に提出しましょう。


出典:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm


出典:No.2070 青色申告制度|国税庁
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

スキルアップを図る時間を設ける

前述したように、フリーランスは自分の持つスキルや情報を提供して報酬を得る働き方であるため、クライアントが望むスキルがないと案件を獲得できなくなり、収入が途切れてしまいます。


また、会社員のようにスケジュールが決まっているわけではないため、スキルアップの時間を自分で確保しなくてはいけません。仕事の合間の時間で、勉強会やセミナーに参加するなどしてスキルアップしていくようにしましょう。

ネット環境やツールを整備する

フリーランスになるには届け出や手続きだけでなく、仕事をするための環境を整える必要もあります。


受注する案件によって必要な環境は異なりますが、最低でもクライアントと連絡を取るためのチャットツールやメールアドレス、ネット環境などを整備しておくようにしましょう。

仕事探しや人脈づくりをする

フリーランスは会社員のように上から仕事が与えられるわけではないため、仕事獲得のために自分から積極的に動く必要があります。


エージェントやクラウドソーシングなどを活用する方法もありますが、実績のない人は知り合いから仕事を紹介してもらうのも有効な方法です。前の職場の関係者やフリーランス仲間などの知り合いから仕事を紹介してもらうパターンも少なくありません。


また、独立したての頃は継続案件を獲得することが難しいため、勉強会やセミナー、交流会などに参加して人脈を構築し、窓口を増やすことも重要でしょう。

自分の仕事を発信する場を設ける

近年はインターネットやSNSを介して様々な情報の交換が行われています。自分のブログやホームページ、SNSを作成し、ポートフォリオや実績を公開することで、興味を持ってくれた人が声をかけてくれる場合もあるでしょう。


ブログやホームページ、SNSで積極的に情報を発信していきましょう。

仕事用の銀行口座を開設する

フリーランスになるには、仕事用の銀行口座の開設も欠かせません。


これまでプライベートで使用していた口座を仕事用に使うこともできますが、事業の財務状況が把握しにくい、会計管理がしにくい、税務調査に対応しにくいなどの問題が生じてしまいます。


仕事用の銀行口座を開設することでこれらの問題が解決でき、会計管理や帳簿付けにかかる手間が省けるでしょう。

確定申告を意識する

確定申告を行うためには、1年間の売上と経費を計算する必要があります。確定申告の時期が近づいてから帳簿付けなどをはじめると、申告期限に間に合わない可能性があるため、経理の時間を定期的に取るようにした方が良いでしょう。


月に1度、請求書を発行するタイミングや報酬が支払われるタイミングなどに経理作業をする時間を設けるようにしてください。

フリーランスが多い職種

パソコン

以前からフリーで活躍する人が多くみられたプログラマーやシステムエンジニアなどのIT系、未経験からでも活躍できる可能性があるWebライターやブロガー、編集者など物書き系はフリーランスが多い職種です。


近年ではデザイナーやYouTuberなどクリエイティブ系の仕事やネイリスト、スタイリストなど美容系の仕事もフリーランスとして活躍する人が増えています。

フリーランスになるなら事前にしっかり準備をしておこう

男性

場所や時間にとらわれることなく、自分が持つスキルや情報を活かして働けるフリーランスは、多様化する現代にマッチした働き方といえます。


フリーランスになるには手続きや届け出、仕事探し、人脈作りなど事前準備が必要です。この記事で紹介したフリーランスになるときに押さえておきたいポイントなどを参考にしっかり事前準備して、理想の働き方を実現しましょう。


【著者】

【記事監修】山崎 裕(東京ITカレッジ講師)

東京ITカレッジで講師をしています。

Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。

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