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フリーランスが契約書を作るには|種類や注意点・記載が必要な項目を解説

  • 公開日:2022-08-01 10:56:20
  • 最終更新日:2022-07-04 10:34:24
フリーランスが契約書を作るには|種類や注意点・記載が必要な項目を解説

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フリーランスが契約を結ぶ必要性

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フリーランスとは、組織や団体に所属せず、依頼された仕事を自由に契約して報酬を得ていく働き方のことです。仕事を依頼する側とフリーランスは雇用関係になく、準委任契約(委任契約)や請負契約を結んで仕事をスタートさせるのが一般的です。


仕事を依頼されるたびに契約を結ぶことを、面倒に感じるフリーランスの方もいるでしょう。面倒に感じる契約ですが、契約を結ぶことには様々なメリットがあります。


まず、フリーランスが契約を結ぶ必要性について見ていきましょう。

トラブルの防止

契約書を交わし文章として残しておくことで、トラブルの防止が可能です。


契約は口約束だけでも成立しますが、文章に残しておくことで「言った、言われていない」という争いを防止できたり、「そもそも契約を結んでいない」と言われてしまうことを回避できたりします。


また、何か問題が起きた場合の対処法や賠償金の請求についても取り決めを行っておけば、責任以上の賠償を回避できるでしょう。


特に、契約額が大きい場合や長期に渡り業務を請け負う場合には、契約を結んでおくことが重要になります。

クライアントとの信頼の醸成

口頭だけで契約を進めていくと双方の認識に齟齬が生じ、トラブルになっても追及が難しくなります。最悪の場合、トラブルを解決できず信頼関係が崩れ、仕事の継続が難しくなることも考えられるでしょう。


文章で契約を交わしておけば、トラブルが起きても契約書をもとに対処ができるため、安心して仕事に取り組めます。


契約を結ぶことで、クライアントとの信頼の醸成にも役立つでしょう。

フリーランスが契約を行う際の疑問点

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フリーランスとして独立したばかりで契約を結んだ経験がない場合、「どうやって契約を結べばいいのか分からない」という疑問を抱くこともあるでしょう。


ここからは、フリーランスが契約を行う際に出てくる疑問点をいくつか紹介していきます。疑問点はできる限り解決して、契約を結ぶようにしましょう。

契約の中身は自由に取り決めができる?

フリーランスが作る契約書に、決まった書式はありません。法律でこの内容を全体に入れなければならない決まりもなく、公序良俗に反しない限りフリーランスとクライアントが自由に取り決めできます(自由の原則)。


後々トラブルにならないように、事前に取り決めておいた方が良い事を自由に組み合わせて契約書を完成させれば良いのです。


また、対等な立場で交わした契約は、民法などの法律よりも優先されるという決まりがあります。そのため、民法などの規定と異なる内容を契約で取り決めておくことも可能です。


自由だからこそ自分の有利になるように取り決められたり、逆に自分に不利な条項が盛り込まれてしまったりする可能性もあります。しっかり内容を精査して、契約書を完成させるようにしましょう。


出典:法務省説明資料 |消費者庁
参照:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/consumer_education/basic_policy/assets/basic_policy_210322_0006.pdf

契約を取り交わした以外の内容の扱いはどうなる?

契約書の中で明確な取り決めが行われなかった内容に関しては、民法(法律)で定められたことが適用されます。


契約を交わしていなかった場合でも、後からトラブルが起こってしまった場合でも、民法に違反していなければフリーランスが著しく不利になるということはありません。


もし、民法などに違反していないのに不利な状況に追い込まれた場合には、法律に詳しい人に相談するようにしましょう。

契約を結ぶという意味は?

契約とは、法的拘束力が生じる約束のことで、民法第522条第1項で「契約内容を示し、申し込みに対して相手方が承諾すると成立する」と定められています。


そのため、契約書を作らずに口頭やメール、SNSなどで内容を伝え、相手がそれに合意しただけでも契約を結ぶことができるのです。


ただし、脅迫や詐欺により契約した場合は意思表示が取り消せます(民法第96条)。また、相手方が約束を守らず契約内容が履行されない場合には、損害賠償請求や契約解除が可能です(第民法415条、541条、542条)。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

契約書を交わすという意味は?

契約を書面でやり取りすることを「契約書を交わす」と言います。契約書を交わす場合、契約書案の作成、契約事項の交渉、契約書の作成・取り交わしという順番で行っていくのが一般的です。


契約書を交わす場合、まず契約書案を作成します。仕事を発注するクライアントが契約書を用意するのが一般的です。もし、契約書をクライアントが用意してくれない場合は、フリーランスから契約書案を提示するようにしましょう。


契約書案が提示されたら、各項目を1つずつ確認していきます。合意できない項目がある場合や追加してほしい項目がある場合は、依頼事項としてクライアントに伝え、契約条件を詰めてください。


契約書に記載されたすべての条件に双方が合意したら、契約書を2部作成し、署名捺印したものを一部ずつ保管します。近年、契約書もデジタル化が進んでおり、書面でなく電子契約という手段を取ることも可能です。

契約の種類

書類

フリーランスは、案件ごとに企業などのクライアントと業務委託契約を結んで仕事を進めていくのが一般的です。フリーランスが結ぶ業務委託契約には、「準委任契約」と「請負契約」の2種類があります。


準委任契約とは、当事者の一方が法律行為でない仕事を依頼して、相手方がこれを承諾することで効力が生まれる契約のことです(民法第656条)。


一方、請負契約は当事者の一方が仕事の完成を約束して、もう一方が仕事の完成に対して報酬を支払うと約束することで効力が生まれる契約のことを指します(民法第632条)。


両者の大きな違いは、仕事を完成させる義務があるか否かです。準委任契約は仕事を遂行することに対して報酬が支払われますが、請負契約は仕事の完成が報酬支払いの条件になります。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

準委任もしくは請負

フリーランスが仕事を引き受ける場合、どのような形で契約を結ぶか決めなければなりません。契約形態を決める場合、依頼された仕事が準委任と請負のどちらの形に当てはまるか考える必要があります。


前述したように、両者の違いは仕事を完成することを約束できるかという点です。成果物を完成させる義務を負うことを約束できる場合には請負契約を、成果物完成の責任が負えない場合や、業務遂行自体に意味がある場合には準委任契約という形を取るのが望ましいでしょう。


例えば、アプリケーションやWebサイトの制作依頼の場合には請負契約、ライターの記事制作やWebサイトの保守運用などは準委任契約を取るといったように分けるようにしてください。

契約を交わすたびに契約書を作る場合

準委任契約にするか請負契約にするか決まったら、仕事の契約を交わすたびに契約書を作るか、基本契約に個別の契約を加えるか決めなければなりません。


仕事に合わせて契約条件の詳細を変更できるため、基本的には契約を交わすたびに契約書を作るようにした方が良いです。


契約書の大まかなフォーマットを作っておき、詳細部分を契約に合わせて変更していくようにしましょう。

基本契約に個別の契約を加える場合

基本的には、契約を交わすたびに契約書を作成していく形をとった方が安心です。しかしながら、新しい仕事を請け負うたびに契約書を交わすということが難しいケースも少なくありません。


短期で終了する仕事が繰り返し発注されるケースがこれに当たり、短期間に何度も契約書を交わすのは双方に多大な手間がかかってしまいます。


このようなケースでは、すべての契約に共通する項目を基本契約という形であらかじめ決めておき、個別の発注条件を後から追加する形を取った方が良いでしょう。


個別の発注条件を個別契約と言い、契約書を交わすのではなく、発注書など比較的シンプルな形でやり取りを行うのが一般的です。


仕事の内容やクライアントと相談して、契約のたび契約書を交わすのか基本契約に個別の契約を加えるか選択しましょう。

契約書の作成

男性

準委任契約にするか請負契約にするか、契約を交わすたびに契約書を作るか基本契約に個別の契約を加えるか決まったら、契約書を作成していきます。


フリーランス側で契約書を用意する場合には、ホームページ上で公開されているサンプルやテンプレートを参考にすると良いでしょう。サンプルやテンプレートを参考に、必要な条項を追加したり不要な条項を削除したりして、自分に合った契約書を作成するようにしてください。

契約書の中身

男性

様々なホームページで契約書のテンプレートやサンプルが紹介されていますが、はじめて契約を結ぶ場合、どのような項目を入れるべきか迷うでしょう。


ここからは契約書の中身について紹介していくため、契約書を作成する際の参考にしてください。

準委任の場合

まずは、準委任契約の中身について見ていきます。準委任契約は、フリーランスが結ぶ基本的な契約形態です。一度契約に同意してしまうと途中で撤回することが難しいため、中身についてよく理解しておくようにしましょう。

契約書の名前

契約書の一番上に、何の契約書であるか分かるように名前を付けます。


準委任契約書の名前は、覚書や合意書などにすることもできますが、誰が見ても分かるように「業務委託契約書」と記載するのが一般的です。より詳しく契約の内容が分かるように「○○委託契約書」と業務内容を一言加えても良いでしょう。


仕事を受けるフリーランス側で契約書を作成する場合も、名前は業務委託契約書と記載するようにしてください。

冒頭の前文

契約書の名前の後には、誰が誰とどんな契約を結んだかということを簡潔に記載した前文を入れましょう。前文を入れない契約書もありますが、契約の当事者が誰か記載することで分かりやすい契約書に仕上がります。


「○○(以下、「甲」という)と△△(以下、「乙」という)は、□□に関して、以下の通り合意し、◇◇契約を締結する」などと記載してください。

業務の内容

前文に続いて条文を作成していきます。条文は当事者の権利や義務を記載した、契約書の核となるものです。どのような順番で何を記載するのか決まりはありませんが、最初に業務内容・契約期間・報酬額を記載するのが一般的です。


業務の内容は詳しく記載しておかないと、認識のズレが生じトラブルになってしまう可能性があります。目安となる業務量や時間を記載しても良いですが、トラブルを避けるためにも業務内容はできるだけ詳しく記載するようにしましょう。


契約期間はできる限り長くした方が良いと捉える人もいるでしょう。しかし、契約を途中で変更することは難しく、契約が終了するまで責任を負わなければならないというリスクもあります。適切な期間を設定するようにしましょう。


業務の対価として受け取る報酬ですが、認識のズレが起きないように報酬額だけでなく消費税額、源泉徴収が行われるかどうかもしっかり記載してください。

報酬の支払い方法

支払い日・支払い方法(振込や手形など)・銀行振込の場合は手数料の負担、振込口座情報を記載しましょう。


フリーランスは会社員のように、毎月決まった日に給料が支払われるわけではありません。支払い期日が遅くなってしまうと生活が成り立たなくなってしまいます。できるだけ早い期日を設定した方が良いでしょう。

業務報告

準委任契約では委任者から請求があった場合、いつでも仕事の処理状況を報告しなければなりません(民法第645条)。


報告の義務はありますが、頻度が週に1度であったり作業量が膨大であったりすると、フリーランスには多大な負担がかかってしまうことになります。そのため、業務報告に関する取り決め(報告の頻度、報告すべき内容など)をしておくことが重要です。


できる限り負担が少なくなるように取り決めましょう。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

守秘義務

仕事上で受け取った情報の取り扱いは慎重に行い、第三者に漏洩させないことは当たり前のことです。しかしながら、受け取ったすべての情報を厳正に管理するのはフリーランスにとって負担が大きく、手間がかかってしまいます。


そこで、条文の中に「守秘義務があることを明示した情報のみ秘密を守る」ということを記載しておくようにしましょう。


守秘義務として受け取った情報だけを厳正に管理することになるため、負担が軽くなります。

業務の再委託の禁止

準委任契約では、委託者の許諾を得た場合ややむを得ない事由がある場合を除いて、仕事を引き受けたものが別の誰かに再委託することはできない決まりになっています(民法第644の2の1項)。


しかしながら、体調不良や自分の技量不足などで業務の遂行が難しくなり、再委託したくなることもあるでしょう。そのような場合に備え、条件付きで再委託が可能となることを記載しておくことをおすすめします。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

第三者への権利と義務の譲渡の禁止

民法第466条1項で債権は自由に譲渡できると決められていますが、契約の途中で事前に連絡なく取引相手が変わってしまっては、義務を負う側には様々な影響が出てしまいます。そのため、第三者への権利と義務の譲渡の禁止を条項に加えておくのが一般的です。


ただ、フリーランス側としては仕事をしたのに報酬が支払われないという場合には、債権を第三者に譲渡したいと考えることもあるでしょう。


民法第466条2項では、譲渡制限の意思表示をした場合でも債権譲渡の効力は妨げられないと定められています。つまり、たとえ権利と義務の譲渡禁止という条項があっても、原則債権の譲渡は有効として扱われるということです。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089


出典:債権法改正により資金調達が円滑になります|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/ABL/14_1.pdf

損害賠償

準委任契約では、契約不適合責任や完成義務を負わない代わりに、善管注意義務を追わなくてはいけません(民法第644条)。注意義務を怠れば損害賠償請求を受ける可能性があります。


また、契約中に債務不履行や不法行為により相手方に損害を与えてしまった場合には、損害賠償の責任を負わなくてはいけません(民法第415条及び第709条)。


準委任契約では、損害が出た場合にどこまで賠償するかということが問題になることが多く、「委託料を上限として損害賠償する」などと損害賠償に関する条項を取り決めておくのが一般的です。


フリーランス側としては、万一の事態が起きても莫大な賠償金を請求されるリスクを軽減できるというメリットがあります。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

免責事項

いくら注意を払って仕事していても、地震や水害などの天災、感染症の流行などにより契約を継続していくことが困難な場合もあります。そのような事態に備えて、条文には免責事項を入れることを忘れてはいけません。


不可抗力により契約の継続が難しくなり相手方に損害を与えてしまっても、免責となることをあらかじめ明記しておけば責任のなすりつけ合いをせずに済みます。

契約解除項目

民法第651条では、準委任契約は各当事者がいつでも解除できると定められていますが、やむを得ない事由がない限り、契約解除には損害賠償請求というリスクが伴います。


しかしながら、契約中にビジネス環境が大きく変化して現在の契約内容が適さなくなったり、相手方に契約違反があり関係を続けていくことが難しくなることもあるでしょう。このような場合に備えて、契約解除項目を設けておくのが一般的です。


契約違反に当たる行為を列挙して、「書面で催告を行い、一定期間の猶予を持って解除できる」というような形で契約解除について記載しましょう。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

途中解除の取り扱い

契約解除項目を取り決めると共に、途中解除が行われた場合の報酬の取り扱いについても決めておきましょう。準委任契約は成果物の納品は求められないため、「業務の履行割合に応じて報酬を支払う」と定めるようにします。

反社会的勢力排除条項

コンプライアンスが重視される昨今、反社会的勢力との関係を持つことは避けなければなりません。契約前に相手が反社会的勢力に該当しないかチェックした上で、契約書の中に反社会的勢力排除条項を加えるのが一般的です。


反社会的勢力と繋がりがないこと、もし反社会的勢力との繋がりが契約途中に分かった場合には、契約解除や損害賠償請求ができることを取り決めておきましょう。

契約終了後の継続条項

基本的に契約期間が終了すると、契約で定めた権利や義務などは効力を失ってしまいます。これは契約不履行などがあり、契約が途中で終了した場合も同じです。しかしながら、守秘義務や機密保持、賠償責任など、契約期間終了後も継続させたい項目もあります。


契約終了後も継続させたい項目に関しては、条文の中に契約終了後の継続条項を入れて備えるのが一般的です。

管轄裁判所の取り決め

相手と円満に取引できれば良いですが、トラブルが起こり話し合いでは解決に至らず、訴訟に発展してしまうこともあります。


万一の訴訟に備えて、契約でどの裁判所で第一審を争うか決めておくのが一般的です。


自宅や事業所から近い裁判所を管轄の裁判所に決めておく方が、遠方に出向く必要がなく安心だと言えます。もし、クライアントから指定された裁判所が遠方である場合には、なるべく近くの裁判所にできないか相談してみましょう。

トラブルの協議について

契約中には事前に取り決めておかなかったトラブルが発生したり、契約事項の解釈のズレが発生したりすることがあります。このような場合に備えて、準委任契約では条文の最後の方でトラブルの協議について記載しておくことが一般的です。


対等な立場で取引を行うことが望ましいですが、どうしても個人で活動するフリーランスよりも仕事を委託するクライアントの力が強くなってしまいます。


「協議の上でトラブルの解決を行うこと」と取り決めておくことで、力の強い方が一方的に自分の意見を主張することを避けることができ、対等な関係を築けるようになるでしょう。

基本契約に個別の契約を加える場合

次に、基本契約に個別の契約を加える場合の契約書の中身について紹介していきます。


基本契約に個別の契約を加える場合、前述した準委任契約をベースとして、以下で紹介するような項目を加えるようにしましょう。

契約書の適用範囲の取り決め

どの業務委託に対して基本契約が適用されるのか、適用範囲を取り決めて明記しましょう。


その際、後から成立する個別契約と基本契約に矛盾が生じてしまった場合、どちらを優先にするのか「優先条項」を設けておくと、争いが起きずにスムーズな取引が可能となります。基本契約と個別契約のどちらを優先するか協議で決め、優先事項を設けておきましょう。

契約成立の要件

基本契約では、個別契約成立の要件について記載した方が良いです。クライアントが発注書をフリーランスに送信した時点なのか、フリーランスが契約の内容に承諾した段階なのか決めておかないと、認識のズレが生じて後々トラブルになってしまいます。


個別契約の申し込み方法(定型の発注書を用意しておくのかなど)、承諾方法(異議があれば何日以内に申し出するかなど)、契約成立までの方法、契約成立時期などを個別契約成立の要件としてまとめておきましょう。

業務内容の取り決め

個別契約を結ぶたびに細かな条件まで決めなくていいように、基本となる業務内容を取り決めておくようにしましょう。


業務内容・報酬・報酬の支払い方法・業務報告・守秘義務・損賠賠償など、準委任契約の項目で紹介した内容を必要に応じて取り決めてください。

請負型の契約書

最後に、請負型の契約書の中身について紹介していきます。


請負契約はこれまで紹介した準委任契約と違い、成果物の提出や仕事の完成の義務を負わなければなりません。準委任契約には無かった項目もあるため、契約前に中身をしっかり理解しておくようにしましょう。

業務内容の明記

準委任契約の場合と同じように、請負契約でもはじめに業務内容を明記します。業務内容・報酬・納品方法について記載しましょう。


請負契約は仕事を完成させることが目的となるため、何を持って完成とするのかしっかりと記載しておかないと、認識にズレが生じトラブルになってしまいます。


成果物についてできるだけ詳しく取り決めておきましょう。契約書の中に書ききれない場合には、別紙に細かく完成について定義してください。


また、納入方法についてもしっかり明記するようにしましょう。誰がどこにどうやって納品するのか、納品にかかる経費は誰が負担するのかまで決めておくようにしてください。

報酬の支払い方法

いつどのようにして支払うのか、報酬の支払い方法についても明記しましょう。


準委任契約を結ぶ場合と同じように、銀行振込にするのか手形や小切手で支払うのか支払い方法を決め、銀行振込にする場合には手数料を誰が負担するのか決めてください。銀行振込にする場合には、銀行口座情報も記載しましょう。

業務完了時の確認

請負型の契約では、成果物が基準に達しているか確認(検査)が行われます。業務完了時の確認はどのように行うのか、どのような基準を持って完成とするのか明記することが一般的です。


「納品から○日以内に異議の申し立てがなければ完成とする」など、確認開始から終了までの期間を定めることも忘れないようにしましょう。

契約不適合の場合の取り決め

完成が求められる請負型の契約では、納品された成果物が契約で定める完成に至らなかった場合の取り決めもしておきましょう。


通常、契約不適合が見つかった場合には、「受託者が無償で修正作業を行う」などと取り決めます。


また、受託者がいつまで契約不適合の責任を負うのか、期間の定めも行っておく必要があります。長期間契約不適合の責任を負うことは大変なため、できる限り短くできるように交渉していくと良いでしょう。

納品後の所有権移転について

仕事の完成を約束する請負型の契約では、大抵の成果物の所有権が委託者であるクライアントに移転することとなります。そのため、どのタイミングで所有権が受託者から委託者へ移転するのか取り決めておく必要があるでしょう。


所有権の移転の時期を明確にすることで、納品前の成果物に対し委託者が所有権を主張することを防げます。納品前に報酬の支払いが行われない事態に陥っても、成果物を守ることができるでしょう。

知的財産権の取り扱いの明記

知的財産権とは、知的創作活動で生み出されたものを守る権利のことで、著作権や特許権、商標権などがあります。受託した業務内容によっては、成果物に知的財産権が発生するケースもあるため、権利の取り扱いについて明記しておく必要があるでしょう。


フリーランスが持つノウハウや創造性を好き勝手に使用され、あたかも委託者のものであるかのように改変や転用されてしまうことはなるべく避けたいと考えるのが普通です。


そのため、「知的財産権は納品後も受託者に帰属させる」と取り決めておく方が良いでしょう。


出典:知的財産権について|経済産業省 特許庁
参照:https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/seidogaiyo/chizai02.html

契約期間内の事故についての取り決め

契約期間内に事故が起きた場合に、その損害を誰が負うのかということも取り決めておく必要があります。


一般的に、所有権が帰属している側が事故で生じた損害を負担しますが、当事者のどちらか一方に原因があって生じた損害に関しては、事故原因となった方が損害を負うと明記しておきましょう。

契約途中の解除の取り決め

民法第641条では、注文者は仕事が完成しない間、いつでも契約を解除できると定められています。つまり、クライアント側にはいつでも解除できる権利はあるが、受託側のフリーランスには一方的に契約を解除できる権利がないということです。


何か予期せぬ事態が起きて基準を満たす納品ができないことが分かっても、相手方に解除してもらうしかないということになります。そのため、受託者側からも契約途中で解除ができるように取り決めしておきましょう。


契約解除できる具体例を挙げ、催告して解除するか催告なしに解除できるか取り決めておいてください。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

契約途中の解除の場合の報酬について

契約途中の解除の取り決めをすると共に、途中解除した場合の報酬を決めておきましょう。


民法634条では、注文者の事情で仕事の完成が難しくなった場合や完成前に請負契約が解除された場合には、利益の割合に応じた報酬の請求が可能と定められています。


民法に従い途中解除の場合の報酬を取り決めても良いですが、解除事由に合わせて緻密に条件を決めておくと、後々トラブルになりにくいでしょう。特に、契約期間が長い場合や報酬額が大きい場合には、しっかり報酬の取り扱いを決めておくと良いです。


出典:民法 | e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

フリーランスと業務委託の違いは?

女性

フリーランスと業務委託の違いについて、よく分かっていないという方もいるでしょう。


フリーランスは企業などの組織や団体に属さず、個別の仕事を自由に契約しながら働く人や働き方そのものを指す言葉です。一方、業務委託とは企業などが業務の一部を外部に委託する契約形態のことを指します。


フリーランスは働き方や人を指す言葉で、業務委託とは契約形態を指す言葉と覚えておきましょう。

フリーランスの契約書の内容を精査してトラブルを防止しよう

男性

仕事を請け負うたびに契約書を交わすのは面倒だと感じるフリーランスの方もいるでしょうが、契約を結ぶことでトラブルの防止やクライアントとの信頼の醸成に役立ちます。


ぜひ、この記事で紹介した契約書の中身を参考に、契約書の内容を精査してトラブルを防止しましょう。


【著者】

【記事監修】山崎 裕(東京ITカレッジ講師)

東京ITカレッジで講師をしています。

Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。

Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。

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