システムアーキテクトとは?必要となるスキルや資格取得のメリットを紹介
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システムアーキテクトとは?
システムアーキテクトとはプログラマーやエンジニアのさらに上に位置するような、システム開発における業務の分析や設計など、いわゆる上流工程に携わる仕事のことです。
そのため、システムアーキテクトを目指すには、プログラマーからシステムエンジニアの順にステップアップしていくパターンが多くなっています。
ここでは、そんなシステムアーキテクトの特徴や魅力、それに伴う資格などについて紹介していきます。
システムアーキテクトとして働くために必要な資格
システムアーキテクト資格とは、IPAによる情報処理技術者試験のレベル4にあたる国家資格となっています。レベル4が最難関となっているため、ハイレベルな試験の内容となっていますが、相応のスキルを身につけていることの証明になります。
このシステムアーキテクトの国家資格は、情報システムやIoTを利用したシステムの開発設計やそれを実現するアーキテクチャを設計したり、クライアントのビジネスモデルに沿ったシステムを提案するコンサルタントも求められるため、高度なIT人材としての能力が求められます。
出典:システムアーキテクト試験(SA)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sa.html
システムアーキテクトとSEとの違い
システムアーキテクトとシステムエンジニア(SE)は、ITプロジェクトをマクロの観点から実現するのか、ミクロの観点を実現していくのかの違いがあります。
>> SEが手掛ける仕事の内容とは?|平均年収と必要となる能力についても解説
システムアーキテクトは、IT事業としてのシステム面でのクライアントの要望に応えることはもちろんのこと、ビジネスモデルとの関連性を考慮してシステムの全体像から構築する役割となります。
そのため、システムの実装はもちろんのこと、様々なビジネス形態に応じたシステムを構築する力も必要となります。SEはその中でも、システム面での実装を主に担当することになります。それぞれのシステム部分の開発を、責任を持って構築していく力が必要になります。
システムアーキテクトの特徴5つ
上級ITエンジニアとしてのシステムアーキテクトが、いわゆる上流工程を含めたビジネスに関わるシステム全体の構築に携わっていくことを紹介してきました。
ここでは、システムアーキテクトの特徴を説明していきます。
1:初期段階からプロジェクトへ参加
システムアーキテクトとして大きな仕事の一つとして、初期段階からのプロジェクトの参加があります。
クライアントからの要求を満たすのはもちろん、IT技術の観点からも問題がないシステムを提案しなければなりません。そのため、ビジネスの観点とIT事業の観点の、二つの視点を常に持ち合わせながらシステム構築を考える必要があります。
2:システムの設計と構築がメイン
システムアーキテクトのメインとなる仕事が、システムの設計と構築になります。
ニーズを満たすにはどのようなシステムが最適かを考えてシステム設計を行い、エンジニアと共にそのシステムを構築していきます。
システムの構築は他のメインエンジニアなどを立てることもありますが、システム設計に関してはシステムアーキテクトが先導していくことになるでしょう。
3:顧客との中立な立場を担う
クライアントのニーズを満たすシステム設計を行うためには、そのクライアント業界のビジネスについての知識が必要になります。また、システムの開発を行う際にはITの知識やエンジニアの力量も考慮する必要があります。
そのため、システムアーキテクトは顧客とエンジニアとの中立的な立場を担い、円滑にシステム設計、開発を行なっていくのも大きな仕事になります。
4:常に最新の知識と技術が必要
IT技術は今もめざましい発展を続けているため、一流のITエンジニアであれば、常に最新の知識と技術を身につけていくことが求められます。
システムアーキテクトのように上流工程を担当する場合でも、システム設計の根幹に関わってくるため、最新技術への探究は余念なく行う必要があります。
5:やりがいを得やすい
システムアーキテクトの働きとして、幅広い知識を活かして現場の技術力を上げることができたり、生産性向上を目的としたビジネス面での改善など、様々な観点での活躍を見込むことができます。
そのため、幅広い分野で活躍することを目指していたり、イチからスタートアップをしようとすることに楽しさを覚えたりしている人は、システムアーキテクトとしてやりがいを感じられるでしょう。
システムアーキテクトに必要な7つの力
システムアーキテクトとして活躍するためには、様々なスキルや能力を身につけておく必要があります。
ここではシステムアーキテクトとして身につけておきたいスキルを紹介していきす。
1:システム関連の知識やスキル
アプリケーションの開発や運用をしていくために、OSやネットワーク、サーバなどのシステム関連の知識やスキルが求められます。アプリケーションの設計時点で大きく左右したり、運用時での緊急の対応を求められたりする時に身につけておきたいスキルとなります。
2:設計を担当する業界に関する知識
クライアントの要望を満たすシステムを設計するためには、そのクライアントの業界のことを知っておく必要があります。
携わっていない業界の知識に関しては、意識的に勉強したり興味を持たないと、なかなか知識をつけられるものではないので、システムクライアントとして活躍していくためには携わる業界の知識を身につけているかどうかが大きく関係します。
3:要求を叶えるための設計スキル
システムアーキテクトとして大切なスキルが、クライアントの要求を叶えるためのシステム設計のスキルとなります。
クライアントがIT知識を持っていなくても、クライアントからのヒアリングを基に、どういったシステムを求めているのかなどの意図を汲み取り、その上でクライアントの要求以上のクオリティを満たしたシステムを提供できるスキルが必要です。
4:トラブル時に必要となるプログラミングスキル
システムアーキテクトとしては下流工程をメインに携わることは少ないため、いつでも高度なプログラミングスキルを求められるわけではありません。しかし、緊急時での対応のためにプログラミングスキルが、システムアーキテクトにも求められることがあります。
エンジニアやSEを経験してシステムアーキテクトになる人が多いため、プログラミングの基礎スキルはついていると思いますが、トラブルなどの緊急時にプログラミングスキルを求められた場合でも対応できるようにスキルを磨いておくことも必要です。
5:全般の管理に必須なマネジメントスキル
システムアーキテクトにはプロジェクト全般のマネジメントスキルが求められます。
期日までにシステム開発が間に合うような設計をする必要があり、その上でスケジュール通り開発が進んでいるか、また遅れそうな場合は設計を見直したりクライアントと再度相談する必要が出てきたりします。
そのため、システムアーキテクトはプロジェクトの開始から納品までのスケジュールの管理や、進行状況に応じた臨機応変な対応ができるようなマネジメントスキルが必要になります。
6:クライアントを納得させるプレゼンテーションスキル
クライアントからの要求を満たしたシステムを提案するにあたり、クライアントを納得させられるようなプレゼンテーションスキルが、システムアーキテクトには求められます。
どんな使いやすく機能性に優れたシステムを設計、開発したとしても、その魅力をクライアントに伝えることができなければシステムの価値を十分に引き出すことができず、システムアーキテクトや開発エンジニアの仕事が認められないことになってしまいます。
どこが優れていて、どういった面で要求を満たせているのか、と言ったことを明確に伝えられるようなプレゼンテーションができるスキルは、システムアーキテクトとしては自らの価値を伝えるための重要なスキルになるでしょう。
7:仕事を円滑に進めるコミュニケーションスキル
システムアーキテクトの仕事スタイルから、人と関わることが多くなるため、仕事を円滑に進行するコミュニケーションスキルは必須となります。
多様なコミュニケーションスキルが求められることが多く、例えば、クライアントとの契約を円滑に進めるためのコミュニケーションや、エンジニア仲間に開発を指示したり開発の進捗を聞いたりするコミュニケーションなど、状況に応じたコミュニケーションスキルが必要になります。
システムアーキテクト資格取得による5つのメリット
システムアーキテクトは非常に難易度の高い資格ではありますが、資格取得の努力に見合ったメリットが十分にあります。
ここでは、システムアーキテクト資格を取得することによるメリットを紹介していきます。
1:必要な能力があることを証明できる
IT業界ではシステムアーキテクトの資格の難易度を知っている人が多いため、資格を保持していることがそのまま自らの高い能力の証明になります。
そのため資格を持っていることが、プログラミングスキル、システムの設計、マネジメントスキルなど、システムアーキテクトとして持ち合わせておきたいスキルを高い水準で持っていることの証明になり、企業で重宝される人材になることができます。
2:人材としての価値が上がり年収アップを期待できる
システムアーキテクトの資格を保持することで、自らの市場価値を上げることができ、それが年収の向上に繋がることがあります。
高いプログラミングスキルを持っていたり、システム設計スキルを持っている人は大勢いますが、それら複数のスキルを兼ね備えている人は少ないため、市場価値はとても大きいと言えるでしょう。
3:好条件での転職できる可能性が高まる
システムアーキテクトとして自らの市場価値を上げることができれば、今よりも好条件で働くことができる環境が見つかる可能性があります。
もっと大きなプロジェクトに携わりたい、興味のある業界のプロジェクトを開発したい、給料がよりいい企業に転職したい、など自分の希望を通しやすい企業に転職できる可能性が広がります。
4:仕事の幅が広がる
システムアーキテクトの資格は様々なスキルを持っていることに繋がるため、仕事の幅を大きく広げるチャンスにもなります。
システムアーキテクトはクライアントからの要求に対してシステムの概要を作ったり、設計をしたりしていくので、システム開発の超上流に位置する、構想段階のシステムデザインから案件に携わることができます。
5:他の資格を取得するとき有利になる
システムアーキテクトの資格を保持していると、ITコーディネータや他のIPAの情報技術者処理資格などの一部試験の免除と言った恩恵を得られる場合もあります。
複数スキルを持っていることが前提のシステムアーキテクトの資格となっているため、次のキャリアパスや資格取得の大きな手助けになることが間違いありません。
システムアーキテクト試験(SA)について
システムアーキテクトは国家資格となっているため、IPAによるシステムアーキテクト試験(SA)の受験が必要になります。
ここではシステムアーキテクト試験について、抑えておきたい情報を紹介します。
出典:システムアーキテクト試験(SA)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sa.html
試験の概要
システムアーキテクトの試験は丸一日かかり、午前に2種類、午後に2種類、合計4種類の試験をそれぞれ受けることになります。また、午前の試験は選択式の問題であり、午後の試験は記述式の論述問題となっています。
出題分野としては、情報システムと組込システム・IoTを利用したシステムの2種類に大別されます。情報システムでは、設計や要件定義、システム開発の観点などの総合的な力を問われます。
組込システム・IoTを利用したシステムでは、要件の調査や分析からハードウェアやソフトウェアの両観点からの仕様をまとめたりする力が問われます。
出典:システムアーキテクト試験(SA)|独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/sa.html
試験の難易度
システムアーキテクト試験の難易度は非常に高く、最高難易度ランクのレベル4に設定されています。
試験対策として、勉強時間の確保はもちろん現場でのスキルアップも同時に行うことで、特に難関と言われる午後IIの記述試験対策をしっかりと行うことが大切になります。午前の選択式の試験は過去問での対策がおすすめになります。
就職や転職に向けシステムアーキテクトを目指してみよう
システムアーキテクトは、システム設計のプロジェクトの初期段階から、エンジニアと相談しながらのシステム開発、開発システムの要件チェックなど、プロジェクト全般に関わることができる、すごくやりがいのある仕事になります。
もちろんその仕事に見合った苦労や高いスキルを求められることもあります。また、システムアーキテクトは国家資格でありますが、取得難易度も簡単なものではありません。
今後のIT業界の発展に先駆け、現状でのシステムアーキテクトの需要はとても大きなものとなっています。貴重なスキルを身につけ、自らの市場価値を大幅に高めるチャンスにもなりますので、システムアーキテクトを目指してみてはいかがでしょうか?
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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