オブジェクト指向とは?知っておきたいプログラミング言語と基本用語も紹介!
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オブジェクト指向とは?
オブジェクト指向とは、ある役割を持ったものを機能ごとに分割し、それぞれの関係性を定義することによってシステムを構成していくという考え方です。
日本語では「物」や「対象」という意味ですが、オブジェクト指向の場合は「データと処理の集まり」のことを指しています。オブジェクト指向をはじめに提唱したのは、パーソナルコンピュータの生みの親であるアラン・ケイ氏だと言われています。
オブジェクト指向の基本用語
オブジェクト指向という概念を理解する上で、概念や登場する基本的な用語の理解は必須です。これからオブジェクト指向を学ぼうと考えている方は、まずは用語の意味を覚えるようにしましょう。
ここではオブジェクト指向の基本用語についてそれぞれ解説していきます。
1:オブジェクト
プログラミングにおいて、オブジェクトとはデータと処理の集まりを意味する言葉です。大まかに言えばモノや事柄すべてを表す言葉で、オブジェクト指向では変数やメソッドなどをオブジェクトと言う単位で表します。
なお、共通のオブジェクトがある場合はクラスとしてまとめられ、クラスを利用して機能を開発する際には外部から利用します。
クラス
クラスとは、データと処理を1か所にまとめる機能のことです。オブジェクトやプログラムの設計図となるもののため、機能を開発する際にいちいちゼロから開発しなくても、クラスを用意しておけば簡単に開発できるようになります。
クラスの中にはプロパティやメソッドなどが含まれており、これらを使用して開発します。なお、開発したいものの共通点を探せば、どのようなクラスを作成すればよいのかわかりやすくなります。
プロパティ
プロパティは、オブジェクトを生成するためのデータのことです。オブジェクトが保有しているデータを指す言葉で、そのオブジェクトの定義に沿ったインスタンスを生成するために必要になります。
たとえば「車」と言うクラスを作成する場合「メーカー」や「タイヤは4つ」といったプロパティを用意する必要があるでしょう。なお、プロパティは基本的に外部からの直接的な変更はできません。
メソッド
メソッドとは、オブジェクトが持っている処理を指す言葉です。インスタンスすべてで共通するアクションのことで、車というクラスであれば「走る」「曲がる」「止まる」などがメソッドとなります。
オブジェクト指向はもともとクラス間でメッセージのやり取りを行うことで情報交換するという考え方でしたが、オブジェクト指向言語ではメッセージの代わりにメソッドを呼び出すことで情報交換を行っています。
インスタンス化
インスタンス化とは、クラスから実態を作り出すことです。クラスは設計図であり、オブジェクト指向とはそもそもクラスを使って抽象化することを指します。
たとえば、車のクラスを作成した場合、このクラスをもとにして「パトカー」や「救急車」などの車を作成すると「パトカー」や「救急車」がインスタンスに該当します。インスタンスがクラスに情報を送り、クラスは受け取った情報をもとにインスタンスを生成します。
2:継承
継承とは、クラス定義の共通部分を別のクラスにまとめる仕組みです。継承は既存のクラスから新しいクラスに「変数定義」や「メソッド」を引き継ぐ仕組みとなっているため、継承を利用することによってコードが再利用しやすくなります。
同じようなオブジェクトを作成する際に1からメソッドなどを作成するのは手間がかかりますが、継承を利用すれば同一のオブジェクトを簡単に実装できるようになります。
3:カプセル化
カプセル化とは、外部のプログラムから中身を変更できないようにする仕組みのことです。オブジェクトが持っているデータや処理の中で外部から直接利用されないものは隠し、利用する場合は外部から操作するための処理を設けることがカプセル化です。
カプセル化によって外から操作する必要がない部分は秘匿されることになるため、プロブラムが壊れにくくなるのはもちろん、開発時にも他のメンバーがすべてのコードを認識せずに済むようになります。
4:ポリモーフィズム
ポリモーフィズムとは、同一のメソッドで異なる処理を行える仕組みのことです。日本語で「多様性」と訳すことができる言葉で、継承したコードを一部変更して利用できる仕組みとなっています。
ポリモーフィズムにより、メソッドの呼び出しに対して、異なる機能や動作を行うことができるようになります。
オブジェクト指向のメリット・デメリット
オブジェクト指向にはメリットもあればデメリットもあります。そのため、オブジェクト指向のプログラミングを学ぶ場合は具体的なメリットやデメリットについて把握しておくことが大切です。
ここではオブジェクト指向のメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
オブジェクト指向のプログラミングには、効率的な設計や開発ができるというメリットがあります。オブジェクト指向の場合、近い機能は「モノ」として作成することにより、同じような機能を簡単に作成できるようになります。
また、オブジェクト指向では「モノ」と「操作」とに分かれているため、不具合が発生した場合に原因を特定しやすい点もメリットです。
デメリット
オブジェクト指向のプログラミングには、設計に時間がかかるなどのデメリットもあります。また、継承によってデータと処理が1つになっているため、実行時にどこのコードが実行されているのか見えにくいです。
他にも、オブジェクト指向を理解したエンジニアも多くないことから、エンジニアの確保が難しいといった点もデメリットだと言えるでしょう。
オブジェクト指向のプログラミング言語
オブジェクト指向の言語として代表的な言語としては「C++ 」や「Python」などがあります。ここでは最後に、オブジェクト指向のプログラミング言語を紹介していきます。
1:C++
C++はC言語を拡張し、オブジェクト指向で記述できるようにしたプログラミング言語です。C言語では構造体や関数が別の機能となっていましたが、C++ではオブジェクト指向やクラスなどの概念を取り入れています。
また、C++は非常に高速な処理が可能で、C言語で実現できることはC++でも実装可能です。汎用性の高さから幅広いニーズがあるため、C言語とあわせて求人も多い言語となっています。
2:Python
PythonはAIやIoTなどの分野で注目されているプログラミング言語です。コードがシンプルで構文も覚えることが少ないため、初心者でも習得しやすい言語となっています。
また、汎用性が高くライブラリも豊富なため、AIやIoTはもちろん、Webアプリケーションやデスクトップアプリケーション、スマホアプリ開発などさまざまな分野で採用されています。そのため、将来性の高い言語だと言えるでしょう。
>> Pythonプログラミング言語とは|開発のメリット・デメリットを解説
3:Ruby
Rubyは日本人が開発したプログラミング言語です。Webアプリ開発に用いられることが多く、Twitterやクックパッドなどの開発にも使用されています。
また、Rubyには開発を効率化できる「Ruby on Rails」という便利なフレームワークがあり、Rubyで開発を行う際にはRuby on Railsを使用するケースが多いです。日本語での情報も見つかりやすいため、初心者でも学びやすいでしょう。
>> RubyとPythonはどちらを学習するべき?それぞれの特徴を比較
4:Java
Javaは代表的なオブジェクト指向のプログラミング言語です。デスクトップアプリやAndroidアプリ、業務系システムなどさまざまな分野の開発で活用されています。
特に大規模な業務系システムの開発には必須の言語だと言えるでしょう。学習コストは高めですが、ニーズの高さから求人も多いため、オブジェクト指向の言語を学びたい場合はまずは押さえておきたい言語です。
>> 人気の言語Javaとは?習得で得られる3つメリットや言語の特徴などを紹介
5:JavaScript
JavaScriptは動的なWebページの開発に使用されているプログラミング言語です。JavaScriptはパソコンやスマホのブラウザで動作する言語で、Web分野のフロントエンドの開発に使用されています。
JavaScriptを使用することで、ブラウザ上でアニメーションを動作させることもできるため、銀行の基幹システムの開発などにも採用されています。
6:Scratch
Scratchは子供用のプログラミング教材として開発されたプログラミング言語です。ビジュアルプログラミング言語となっているため、コードを書かなくてもブロックのドラッグ&ドロップのみでプログラミングを行うことができます。
Scratchを利用することで、ゲーム感覚でプログラミングを学ぶことができ、子供用のプログラミング教材として世界中で広く採用されています。
オブジェクト指向はプログラミングの経験の中で感じ取ろう!
オブジェクト指向とは、関連したデータやメソッドなどをクラスとしてまとめる開発手法です。オブジェクト指向であれば簡単に機能を作成できるため、開発を効率化できます。
ぜひ本記事で紹介したオブジェクト指向の概要やオブジェクト指向の基本用語、オブジェクト指向のプログラミング言語などを参考に、オブジェクト指向について理解を深めてみてはいかがでしょうか。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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