テストエンジニアの仕事内容とは?資格・スキル・将来性など多数説明
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テストエンジニアとはどのようなエンジニアのこと?
テストエンジニアとは、システムやソフトウェアなどの開発工程におけるテスト全般を担うエンジニアです。
システム開発やIT製品などの開発では動作に問題がないかどうかを検証する工程がありますが、テストエンジニアはあらゆるテストを行うことでプログラムに潜んでいるバグや設計ミスなどを見つける役割を持ちます。
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どのようなシステムでもリリースする前に、正しく動作するか十分に検証することが必要になるため、テストエンジニアは非常に重要な職業であると言えます。
テストエンジニアとテスターとの相違点
テストエンジニアもテスターも、システムやソフトウェア、IT製品などのテスト工程を担う職業であることは共通しています。
しかしテストエンジニアがテスト計画や設計、評価なども行うのに対して、テスターはあらかじめ設定されているテストケースに沿ってテストを行うという相違点があります。
近年ではテストの自動化も進んできているため、テスターの役割は今後自動化されていくことが予想できます。しかしテストケースの設計なども行うテストエンジニアの役割は、今後も需要があると言えるでしょう。
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テストエンジニアの平均的な年収
テストエンジニアの年収は企業の規模や地域によっても異なりますが、おおよそ300万円~500万円のボリュームゾーンであると言えます。そのため、エンジニア全体の平均年収と比較すると低い水準にあると言えるでしょう。
しかしスキルによっても年収には差があり、特に自分自身でテストケースの設計や管理まで実施できるようなテストエンジニアであれば、この水準よりも年収は高くなる傾向があります。
テストエンジニアが行う6つの仕事の流れ
テストエンジニアはプログラマーなどが作成したシステムやソフトウェアが仕様どおりに動作するかどうか検証する仕事です。しかし具体的にどのような仕事の流れになっているのかイメージしにくいという方は多いでしょう。
ここではテストエンジニアが行う6つの仕事の流れを紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
1:テスト計画
テストエンジニアの仕事としては、まずはテスト計画があります。システムやIT製品などのテストを実施する場合には、開発者にテスト対象の情報提供を受けながら、テスト計画を立てる必要があります。
テスト計画には高いスキルが要求されるため、テスト計画書の設計を行うのはキャリアのあるテストエンジニアとなります。
2:テストの観点・技法・ケース数の設計
テストエンジニアはテスト計画とともに、テストの観点を見極め、テストの技法やテストケース数などを設計していきます。
テストの観点とは、テスト対象のシステムなどが正しく動作するかどうかを見極めるため、テストの切り口のようなものになります。このような切り口を纏めたものをテスト観点リストと呼びます。
テストエンジニアはテスト対象にどのようなテスト観点があるのかを調べ、重点的にテストを行うポイントを見つけ、どのような技法でテストを行うのか選択し、テストケースを作成します。
3:テスト結果の確認
テストエンジニアはテスト計画に沿ってテストを実行し、テスト結果の確認を行っていきます。仕様書や設計に沿った状態でプログラムが動作しているかどうかを確認していく作業です。
また、実際のテスト工程は自動化するケースもあり、その場合はテスターがテストエンジニアの作成したテスト計画やテストケースにとって実行します。しかし自動化する場合でも、テスト結果の確認を行うのはテストエンジニアの仕事となります。
4:資料の作成
テストエンジニアはテストの結果をまとめて資料を作成します。また、テストケースに問題があったり追加要望が発生したりした場合には、再テストを行うこともあります。
テストに関する資料は、主にExcelやwordなどを使用して作成するケースが多いでしょう。たとえばスマホアプリのテスト結果であれば、テストを行った複数の機種やOSごとにテスト結果をまとめる必要があります。
また、問題なく動作した場合でも資料に記載する必要があります。
5:関係者への報告
テストエンジニアはテスト結果を資料としてまとめて、開発部門などの関係者に報告を行います。テストを実施したシステムやIT製品の問題点などを報告するのもテストエンジニアの仕事です。
また、テスト評価や報告を行う際には、開発側ではなく実際にそのシステムを利用するエンドユーザーの視点になることが重要です。
6:問題点の改善と品質向上
テストエンジニアはシステムの問題点の改善や品質向上のために提案を行うことも仕事です。テスト結果をまとめて報告するだけでなく、エンドユーザーの視点でシステムの品質向上のための改善案を提案します。
また、実際に開発部門にその改善案が採用された場合には、システムの修正を行った後に再度テストが行われます。このような繰り返しを行うことで、システムの問題点をなくして品質を向上していきます。
テストエンジニアに必要とされる5つの知識
テストエンジニアはプログラマーのように直接システム開発を行うわけではありませんが、専門的な知識を求められる職業だと言えます。ここではテストエンジニアに必要とされる5つの知識を紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:テスト工程の知識
テストエンジニアにはテストにおける各工程の知識が必要になります。テストの種類としては、プログラムや機能ごとに個別の動作確認を行う「単体テスト」、モジュール同士を結合してテストする「統合テスト」、全てのシステムを通して動作確認をする「システムテスト」などの種類があります。
テストエンジニアはこれらのテスト工程で、それぞれ必要なテスト内容について理解しておく必要があります。
2:テスト技法の知識
テストエンジニアには正確にテストを実施するためのテスト技法の知識が求められます。実際にシステムのテストを行う場合、テスト項目が非常に多くなるケースがあります。
そういった場合でも、テスト技法やソフトウェアテストに関する知識があれば、効率的にテストを進めることができるでしょう。
3:システムやソフトウェア動作に関する知識
テストエンジニアにはシステムやソフトウェアの動作に関する知識が必要になります。テストエンジニアの仕事はシステムやソフトウェアが正常に動作すること、バグが潜んでいないことなどをテストを通して確認することが仕事です。
そのため、正常なシステム、ソフトウェア動作について把握しておかなければいけません。
4:リスクやコストへの知識
テスト工程に割ける人員や工期には限界があるため、テストエンジニアにはリスクやコストに関する知識が必要です。
全ての機能を念入りにテストしきれば良いですが、人員や工期が限られている以上、テストエンジニアには重要度や不具合のリスクのある箇所に注目して効率的にテストを行うことが求められます。
特に機能と機能の境目はバグが発生しがちなので、そういった場所にはアドホックテストを実施して、不具合を効率的に見つけるなどの方法があります。
5:品質管理に関する知識
テストエンジニアには、顧客が求めている品質を理解できる知識が必要になります。たとえば一般的な顧客の求める品質には「当たり前品質」と「魅力的品質」という言葉があります。
「当たり前品質」は当然できているはずの機能を担保する品質、「魅力的品質」とは追加機能などの評価が上下する要因となる品質を指します。これらの品質管理に関する知識があれば、的確なテストが実施できるでしょう。
テストエンジニアに必要とされる6つのスキル
テストエンジニアは比較的未経験者であっても仕事をしやすい職業とされていますが、スキルによって給与には大きな差が出ます。そのため、テストエンジニアに求められるスキルを身に付けておくことが重要です。
ここではテストエンジニアに必要とされる6つのスキルについて解説していきますので、参考にしてみてください。
1:集中力
テストエンジニアはさまざまな細かいテストを繰り返す職業なので、高い集中力が求められます。集中力に欠けた状態でテストを行うと、重大なバグや不具合を見落としてしまう可能性もあります。
そのため、同じような単純作業の繰り返しであっても集中した状態を保てるスキルが必要になります。
2:問題把握能力
テストエンジニアはテスト中に見つかった問題を把握し、提起するスキルが求められます。バグなのか仕様なのか曖昧な動作であっても、見過ごしてしまうとのちのち大きな問題に繋がるケースもあります。
そのため、テストエンジニアには問題を見過ごさない問題把握スキルが必要とされます。
3:資料作成能力
テストエンジニアはテスト結果を資料としてまとめることも仕事となるため、資料作成能力が求められます。資料を作成するには、基本的なExcelやWordのスキルが必要です。
また、誰が見てもわかりやすいようにグラフを追加したり、テスト前と後の変化について解説文を記載したりするなど、質の高い資料を作成するスキルが必要になるでしょう。
4:プレゼンテーション能力
テストエンジニアは資料を基にテスト結果について関係者に報告を行うことになるため、プレゼンテーション能力も必要になります。いくら資料の仕上がりが良くても、プレゼンテーションの仕方によっては相手にうまく通じないこともあります。
そのため、改善すべき点や具体的な改善策についてうまく伝わるようなプレゼンスキルを身につけましょう。
5:テスト自動化ツールを扱う能力
実際のテスト工程ではテスト自動化ツールを利用するケースがあるため、テストエンジニアには自動化ツールを扱うスキルも必要になります。特に膨大な量のデータを扱ってテストを実施する場合は、テスト自動化ツールを利用する可能性が高いです。
テスト自動化ツールにもさまざまな種類があるため、テストの内容によって最適なツールを選定できるようにしましょう。
6:リスクマネジメント力
リスクマネジメントとは、プロジェクトにおけるリスクを管理することです。テストにかかるコストを抑えるとリスクが高まってしまうため、テストエンジニアにはリスクマネジメント力が必要になります。
テストエンジニアになるための方法
テストエンジニアにはさまざまな知識やスキルが求められますが、実際にテストエンジニアになるにはどのような方法があるのでしょうか。ここではテストエンジニアになるための方法について紹介していきます。
未経験者はテスターから始める
テストエンジニアはテスト計画や設計も行いますが、テストエンジニアが作成したテスト計画書に沿ってテストを実施するテスターからであれば、実務未経験であっても始めやすいでしょう。
テスターであれば未経験でも応募しやすいです。最初はテスターとして仕事を始めて、スキルを身につけていくことで将来的にはテストエンジニアになることも可能です。
通用するスキルを持っている場合はテスト設計を志望する
テストエンジニアとしてのスキルがあるようであれば、始めからテスト設計を志望してみるのも良いでしょう。テスト設計はテストの工程では上流工程となるため、専門的なスキルが求められます。
後述する「IT検証技術者認定試験」や「JSTQB認定テスト技術者資格」などを取得していれば、テストエンジニアとしてテスト設計からスタートしてみると良いでしょう。
テストエンジニアにおすすめの資格5選
テストエンジニアになるために必要な資格はありませんが、資格は一定の知識やスキルを証明するものです。そのため、資格を取得しておけば実務経験がなくても専門的なスキルを持っていることの証明になります。
ここではテストエンジニアにおすすめの資格5選を紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:IT検証技術者認定試験(IVEC)
IT検証技術者認定試験(IVEC)はテストエンジニアのための資格試験です。一般社団法人「IT検証産業協会(IVIA)」が実施している試験で、テスト現場での実務を重視しているという特徴があります。
IVECではレベル1からレベル7までの7段階のキャリアレベルを設けており、テスト実行者から上級コンサルタントまでレベルに合った資格を取得できます。
出典:IVEC(認定試験)|一般社団法人IT検証産業協会
参照:https://www.ivia.or.jp/item43
2:JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は世界でも通用するテストエンジニアの資格です。世界各国のテスト技術者認定組織が参加している「ISTQB」の加盟組織であるJSTQBが実施している試験です。
試験にはAdvanced LevelテストアナリストとAdvanced Levelテストマネージャ、Foundation Levelの3種類があります。
出典:JSTQB認定テスト技術者資格|JSTQB
参照:http://jstqb.jp/
3:ソフトウェア品質技術者資格
ソフトウェア品質技術者資格はソフトウェア品質技術を認定する資格です。一般財団法人「日本科学技術連盟」が実施している試験で、ソフトウェアの品質向上を目的としています。
試験には初級と中級の2種類があり、テストエンジニアはもちろん、ソフトウェア開発に携わるエンジニアに適した試験となっています。
出典:ソフトウェア品質技術者資格|一般財団法人日本科学技術連盟
参照:https://www.juse.jp/jcsqe/
4:ITパスポート試験
ITパスポート試験はITに関する基本的な知識を有していることを認定する国家資格です。IPAが実施しているIT系の国家試験の1つで、通称「iパス」と呼ばれています。
ITスキル標準のスキルレベル1相当となっているため、これからIT系の資格を取得していこうと考えている方の最初の足掛かりとしておすすめです。
出典:iパスとは|ITパスポート試験
参照:https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/about/about.html
5:基本情報処理技術者試験
基本情報処理技術者試験はエンジニアとしての基礎力を認定している国家資格です。iパスと同様にIPAが実施している試験で、スキルレベルは2相当となっています。
試験範囲が広く、ITに関する幅広い知識を取得できるため、スキルアップを目指すテストエンジニアにおすすめです。
出典:基本情報技術者試験(FE) | IPA
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html
テストエンジニアが活躍する企業3例
あまり馴染みのないテストエンジニアという職業ですが、どのような企業で活躍できるのでしょうか。ここではテストエンジニアが活躍する企業3例を紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:品質保証テストを専門とする企業
テストエンジニアは品質保証テスト、評価を専門とする企業で活躍することができます。品質保証テストを専門にしている企業は、メーカーなどから依頼を受けてユーザー目線とエンジニア目線両方でのテストを実施しています。
このような外部の企業にテストを依頼することで、開発側では気付けないような問題点を発見できます。
2:製品の検証テストを下請けとして受託している企業
テストエンジニアは製品の検証テストを下請けとして受託している企業で活躍することができます。検証テストを依頼する企業には、携帯電話や半導体、カメラ、プリンターなどさまざまなメーカーがあります。
3:ソフトウェア開発を受託している企業
テストエンジニアはソフトウェアやシステムなどの開発を受託している企業で活躍することができます。一般的にイメージされるシステムやアプリケーションを開発している企業での、システム開発におけるテストや検証工程に携わります。
システム開発を行っている企業で働く場合は、さまざまな工程でのテストに関わることになります。また、システムエンジニアやプログラマー、デバッガーといった職種と連携していく必要があるでしょう。
テストエンジニアの将来性のポイント4つ
テストエンジニアに興味がある方の中には、テストエンジニアの将来的な需要についても知りたいという方は多いでしょう。
求人を見ると現在テストエンジニアには需要がありますが、テストを自動化するツールなども増えてきていることから、将来的には需要は減少していく可能性と考えられます。
ここでは最後に、テストエンジニアの将来性のポイントについて紹介していきます。
1:テストだけのエンジニアは厳しい
これまでであれば、大規模なソフトウェアのテストを実施する場合、全てのテストケースをテストエンジニアが実施することは困難で、特に重要な部分やバグが発生しやすい箇所に対してのみテストを実施することが一般的となっていました。
しかし前述のとおり、近年ではテストを自動化したり効率化したりするツールも増えてきており、テストを実施する人材の需要が以前よりも減っています。そのため、今後はテストだけしか行えないテストエンジニアに関しては需要が減少していくと言えるでしょう。
2:AIが見つけられないバグを見つける力が必要
現在はAI技術の発展により、大規模なシステムであっても自動的にシステムを網羅したテストが可能となっています。しかしAIを活用したテストツールも完璧ではないため、AIでは実施が困難なテストも存在しています。
そのため、将来的にテストエンジニアにはAIでは見つけられないバグを見つけるスキルが求められるようになるでしょう。複雑なテストのノウハウを持つテストエンジニアであれば、将来性も高いと言えます。
3:プラスアルファの力を身につける
テストエンジニアに限りませんが、他の人材にはない専門性の高いプラスアルファのスキルがあれば、将来的にも活躍できるテストエンジニアになれるでしょう。
たとえば、テストエンジニアにはテストを行うスキルが必要とされますが、プログラミングなどのテスト以外の工程も担当できるスキルがあると、需要の高いエンジニアになれるでしょう。
4:プロジェクトマネージャーを目指す
ここまで紹介したとおり、テストのみを専門的に行うテストエンジニアでは、残念ながら将来性は高いとは言えません。そのため、幅広いITスキルやリーダーリップ、マネジメントスキルなどを身に付けて、プロジェクトマネージャーを目指しましょう。
プロジェクトマネージャーになれば、どのような企業からも実力を認められる市場価値の高い人材になることができるでしょう。
>> プロジェクトマネージャーが持つ役割とは?必要とされる能力もあわせて解説
テストエンジニアについて理解を深めよう
テストエンジニアはソフトウェアやアプリケーション、IT製品などのテストを行うエンジニアです。
ぜひ本記事で紹介したテストエンジニアが行う仕事の流れやテストエンジニアに必要とされる知識やスキル、テストエンジニアにおすすめの資格などを参考に、テストエンジニアに関してより理解を深めてみてはいかがでしょうか。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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