プロジェクトマネージャーが持つ役割とは?必要とされる能力もあわせて解説
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そもそもプロジェクトマネージャーとは?
プロジェクトマネージャーとは、システムやソフトウェア開発におけるプロジェクトのすべての責任を負う役職です。プロジェクトの進行管理を行い、プロジェクトの予算や品質、納期などに関する全責任を負います。
プロジェクトマネージャーの仕事はプロジェクトにおける意思決定を行い、プロジェクトを成功へ導くことです。
プロジェクトマネージャーに似た役職との違い
プロジェクトマネージャーに似た名称の役職として、「プロダクトマネージャー」や「プロジェクトリーダー」があります。いずれも名前が似ているため混同されがちな役職ですが、それぞれ業務内容や責任の範囲などが異なっています。
ここでは、プロジェクトマネージャーに似た役職との違いについて紹介していきますので、参考にしてください。
プロダクトマネージャーとの相違点
プロジェクトマネジメントは目的達成のためのマネジメントですが、プロダクトマネジメントはプロダクトの価値を最大化するためのマネジメントです。
プロジェクトマネージャーの仕事は自身が担当するプロジェクトを成功させることですが、プロダクトマネージャーの仕事は担当する製品に関して責任を持ち、価値を向上させることが仕事だと言えるでしょう。
>> プロダクトマネージャーが行う仕事内容とは?必要とされる能力も解説
プロジェクトリーダーとの相違点
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを円滑に進めるためのマネジメントを行うことが仕事ですが、プロジェクトリーダーは現場のリーダーとして指示を出すことが仕事です。
プロジェクトリーダーはチームメンバーをまとめて適切な指示を出したり、チームの意見をまとめたり、プロジェクトチームの成果を上げるためのさまざまな業務を行います。
>> プロジェクトリーダーの主な仕事とは?求められるスキルや年収についても紹介
プロジェクトマネージャーが持つ役割4つ
プロジェクトマネージャーには、「計画通りにプロジェクトを遂行させる 」「組織的なサービスの提供 」「リスク回避」「利益を増やす」といった役割があります。
ここでは、プロジェクトマネージャーが持つ役割について解説していきますので、参考にしてみてください。
- 計画通りにプロジェクトを遂行させること
- 組織的なサービスの提供
- リスクを回避すること
- 利益を増やすこと
1:計画通りにプロジェクトを遂行させること
プロジェクトマネージャーの役割とは、当初の計画通りにプロジェクトを遂行させることです。
システム開発プロジェクトでは、時に「プロジェクトが独り歩きしている」と言われることがあります。これは実際にはプロジェクトが自動的に進んでいるのではなく、管理が上手くいかずに勝手な方向に進んでいってしまっているということを意味します。
プロジェクトマネージャーはこのような事態にならないように、プロジェクトの予算や品質、納期などあらゆるものを管理し、必要に応じて補正しながら計画通りにプロジェクトを遂行させるという使命があります。
2:組織的なサービスの提供
プロジェクトマネージャーはプロジェクトチームを編成し、クライアントに対して組織的なサービスを提供するという役割を持ちます。
プロジェクトとは、システム開発の依頼主であるクライアントとエンドユーザーの間に入り、良いものを創造する「貢献」です。このような貢献は、プロジェクトマネージャーだけでは実現できないため、プロジェクトチームによって組織的に行われることになります。
3:リスクを回避すること
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトにおけるさまざまなリスクを回避するという役割を持ちます。プロジェクト計画が順調に進んでいたとしても、潜在的なミスが存在している場合や、プロジェクト終盤になって大きなトラブルが発生するケースもあるでしょう。
そのため、プロジェクトマネージャーはあらゆるリスクに対する備えを行い、リスク回避を行うことが重要です。
4:利益を増やすこと
プロジェクトマネージャーも企業に属する組織の一員であるため、利益を増やすという役割を持ちます。プロジェクトマネージャーとして責任を持ってプロジェクトに貢献したとしても、ビジネスとして利益が出ていなければ意味がありません。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを推進する上で、ビジネスの利益を向上させる必要があります。
プロジェクトマネージャーの役割を果たす上での心得7つ
プロジェクトマネージャーを目指す場合は、プロジェクトマネージャーとしての心得を把握しておく必要があります。プロジェクトマネージャーはプロとして、常に周りから見られていることを自覚することが大切です。
ここからは、プロジェクトマネージャーの役割を果たす上での心得を紹介していきますので、参考にしてみてください。
- 誠実でいることを意識する
- 責任感を持つ
- 清潔感に気を配る
- 相互依存関係を構築する
- プロジェクト関係者の力を借りることを厭わない
- 知識を身に付ける
- トラブルを事前予測できるようにする
1:誠実でいることを意識する
信頼関係を構築するためには、嘘や誤魔化しなどはNGです。
嘘や誤魔化しを行ったことが相手に知られれば、それまでの信頼関係も崩れてしまいます。また、改めて関係を修復することはできなくなるでしょう。
2:責任感を持つ
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの全責任を持つ役職です。そのため、プロジェクトマネージャーの役割を果たすためには、責任感が求められます。
実際に作業を進めていくのはメンバーですが、何かあったときに最終的に責任を取るのはプロジェクトマネージャーであるため、責任を持ってプロジェクトを遂行することが大切です。
3:清潔感に気を配る
プロジェクトマネージャーは多くのステークホルダーと関わる役職であるため、プロとして、周りから見られているという意識を常に持つことが大切です。
人の印象は見た目で決まるため、プロジェクトマネージャーとしての役割を果たすためにも清潔感に気を配りましょう。
4:相互依存関係を構築する
クライアントをはじめとしたすべての利害関係者に敬意を払い、相互依存関係を構築しましょう。プロジェクトではクライアント、会社の上司、プロジェクトメンバーなどさまざまなステークホルダーが関わることになります。
プロジェクトマネージャーとして業務を行う際には、すべてのステークホルダーにとって適切な落としどころを見つけることが大切です。
5:プロジェクト関係者の力を借りることを厭わない
プロジェクトを成功へ導こうと思っても、プロジェクトマネージャー1人の力ではどうにもなりません。
プロジェクトマネージャーはプロジェクト関係者を巻き込み、問題を解決しながらプロジェクトを推進していくことが大切です。
6:知識を身に付ける
プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを成功させるには、プロジェクトマネジメントの知識が必須です。プロジェクトマネジメントの知識を習得するには、「PIMBOK」と呼ばれるガイドブックを読んでおくと良いでしょう。
また、プロジェクトマネージャーが参加するミーティングでは専門用語が多く用いられるため、専門用語の意味についても理解しておくことが必要です。
7:トラブルを事前予測できるようにする
プロジェクトが最初から最後まで計画通り完璧に進むことはまずないでしょう。
多くの場合ミスは発生するため、プロジェクトマネージャーはトラブルを事前予測できるようにすることが大切です。
プロジェクトマネージャーが行う具体的な仕事内容5つ
プロジェクトマネージャーの仕事としては、「プロジェクトの目的を明確に決める」「チームメンバーへ指示を出す」「データ収集とリスク分析を行う」などがあります。
ここからは、プロジェクトマネージャーが行う具体的な仕事内容について解説していきます。
- プロジェクトの目的を明確に決める
- チームメンバーへ指示を出す
- プロジェクトのデータ収集とリスク分析を行う
- プロジェクト計画書を作成する
- 外部や発注元とのコミュニケーションを取る
1:プロジェクトの目的を明確に決める
どのようなプロジェクトにも目的があり、目的が曖昧になっているとプロジェクトが誤った方向に進んだり、問題が発生したりするケースもあります。
プロジェクトマネージャーは誰よりもプロジェクトの目的を深く理解し、目的を明らかにする必要があるでしょう。
2:チームメンバーへ指示を出す
プロジェクトマネージャーはプロジェクトメンバーへの指示を出します。指示を出す場合はできるだけわかりやすく、表情も意識して的確に伝えられるようにする必要があるでしょう。
3:プロジェクトのデータ収集とリスク分析を行う
プロジェクトマネージャーは、データ収集とリスク分析によってプロジェクトの管理を行います。プロジェクトの計画を立ててもその通りに進むとは限りません。
プロジェクトマネージャーは情報収集やリスクに対する備えを行い、プロジェクトを遂行するための体制を整えましょう。
4:プロジェクト計画書を作成する
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを遂行させるためのルールを決定し、プロジェクト計画書を作成します。具体的には、プロジェクトの目的や何をするのか、また、誰がいつまでにどのようにするのかをドキュメントとしてまとめます。
また、実際にプロジェクトが開始してからはプロジェクトの進捗や問題などをまとめ、どのようにすれば計画通りに進めるのかを考え、実行しましょう。
5:外部や発注元とのコミュニケーションを取る
プロジェクトマネージャーは外部や発注元との窓口になり、要望を聞いたり調整を行ったりするためのコミュニケーションを取ります。外部の関係者と社内のプロジェクトチームをつなぐことも、大切な役割です。
>> エンジニアの上手なコミュニケーションの取り方14選|必要とされる要素とは
プロジェクトマネージャーに必要な能力7つ
プロジェクトマネージャーはプロジェクトにおけるすべての責任を持つ役職です。プロジェクト全体の管理や社外の人間との交渉、予算の決定など幅広い業務をこなすことになるため、多くの能力が必要になります。
ここでは、プロジェクトマネージャーに必要な能力を紹介しますので、参考にしてみてください。
- 情報を収集する能力
- 情報を管理する能力
- モチベーションの管理能力
- 問題を解決する能力
- 計画の立案能力
- 交渉する能力
- リスクマネジメント能力
1:情報を収集する能力
日々新しい情報や技術が生まれているIT業界において、プロジェクトマネージャーには業界の最新情報を収集する能力が求められます。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの責任者として企業の担当者と直接接する機会も多いため、業界動向は押さえておかなくてはいけません。プロジェクトマネージャーが知識を持っていれば、担当者も安心してプロジェクトを任せられるでしょう。
2:情報を管理する能力
プロジェクトマネージャーには情報を管理する能力も求められます。収集した情報をもとに分析を行い、プロジェクトの品質を向上することもプロジェクトマネージャーの仕事です。
3:モチベーションの管理能力
プロジェクトマネージャーには多くのマネジメントスキルが求められます。プロジェクトメンバーのやる気はプロジェクトのパフォーマンスを大きく左右するため、メンバーのモチベーションの管理能力も求められるスキルの1つです。
4:問題を解決する能力
システム開発プロジェクトではさまざまな問題に衝突するため、プロジェクトマネージャーには問題を解決する能力が求められます。問題を解決する能力とは、問題が解決した後の状態まで想像し、そこに至るまでの突破口を見出して適切なソリューションを立案するものです。
問題を解決するためには、時には原因部分を打開するだけでなく、代替案の提案を行うことも必要となります。問題を解決するには広い視野を持つことも重要になるでしょう。
5:計画の立案能力
プロジェクトマネージャーはクライアントのニーズをもとに、どのようなシステムを開発するのか決定する役割を持ちます。そのため、プロジェクトマネージャーにはプロジェクトを成功に導くための計画の立案能力が求められるでしょう。
6:交渉する能力
プロジェクトマネージャーはクライアントとの交渉を行う窓口となるため、交渉する能力が求められます。システム開発プロジェクトでは、プロジェクト全体を通して予算や仕様変更、スケジュールなどの調整、開発メンバーからの提案など、さまざまな交渉が発生します。
プロジェクトマネージャーはクライアントからの要望に応えるだけでなく、現場からの意見なども考慮してクライアントと交渉を行い、折り合いをつけるスキルが必要です。
7:リスクマネジメント能力
プロジェクトマネージャーには高いリスクマネジメント能力が求められます。プロジェクトにはさまざまなリスクが存在するため、プロジェクトマネージャーはあらゆるリスクを想定する必要があります。
また、プロジェクトにおいてリスクが予見される場合、適切なリスク対策を実施しましょう。
プロジェクトマネージャーに必要な資格
プロジェクトマネージャーになるための必須の資格はありませんが、プロジェクトマネージャーに必要な知識を保有していることを客観的に証明できるでしょう。
ここからは、プロジェクトマネージャーに必要な資格を紹介していきますので、参考にしてみてください。
プロジェクトマネージャ試験(PM)
プロジェクトマネージャ試験(PM)とは、プロジェクト全体を統括するスキルを認定する国家資格です。スキルレベル4相当の難易度の高い試験となるため、高度情報処理技術者試験に含まれます。
プロジェクトマネージャ試験ではプロジェクトマネジメントに必要なスキルを認定するため、取得すれば高いスキルを持っていることを証明できます。
出典:プロジェクトマネージャ試験(PM) | IPA
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html
Project Management Professional試験(PMP)
Project Management Professional試験(PMP)とは、プロジェクトマネジメントに関するスキルを認定する資格です。アメリカの非営利団体「PMI」が認定している国際資格で、PMIが策定した「PMBOK」という知識体系に基づいて出題されます。
プロジェクトマネジメントにおける経験や教育、知識などを測る試験となっているため、PMPを取得することで高いプロジェクトマネジメントスキルを有していることを証明できます。
プロジェクトマネージャーを目指す人におすすめの本6選
プロジェクトマネージャーを目指す場合は、書籍を利用してプロジェクトマネジメントの基本を学ぶのもおすすめです。前述の試験対策を行う上でも役に立つでしょう。
ここではプロジェクトマネージャーを目指す人におすすめの本を紹介します。
1:マンガでわかるプロジェクトマネジメント
「マンガでわかるプロジェクトマネジメント」は、プロジェクトマネジメントとPMBOKの基本について漫画で学べる書籍です。プロジェクトマネジメントについて、プロジェクトの立ち上げから終了までストーリーを追いながら解説しています。
漫画+解説という構成になっているため、初心者でもわかりやすく学べるでしょう。
2:マネジメント[エッセンシャル版] 基本と原則
「マネジメント[エッセンシャル版] 基本と原則」は、ドラッカーのマネジメント論を初心者向けにまとめた書籍です。ドラッガーの「マネジメント――課題、責任、実践」のエッセンスをまとめたもので、マネジメント論の入門として適した一冊です。
マネジメント論の特に重要な部分を抜粋しているため、日本企業でもあてはまるマネジメントの基本と原則を確認することができるでしょう。
3:曖昧性とのたたかい 体験的プロジェクトマネジメント論
「曖昧性とのたたかい 体験的プロジェクトマネジメント論」は、著者が現場で得たノウハウを教科書的にまとめた書籍です。「みどりの窓口」の鉄道予約システムなど、日本で数多くのプロジェクトを経験してきた著者による、体験的プロジェクトマネジメント論が学べます。
システムビジネスの流れを順を追って学べるため、これからプロジェクトマネージャーを目指す人やスキルアップを目指すプロジェクトマネージャーにおすすめです。
4:先制型プロジェクト・マネジメント
「先制型プロジェクト・マネジメント」は、プロジェクトの現場に今すぐ適用可能な実用スキルを学べる書籍です。プロジェクトマネジメントの理論や概念への理解は深まっていますが、実際のプロジェクトの現場に活かせているケースは多くはありません。
本書では理想と現実のギャップを整理し、実際のプロジェクトの現場に必要なノウハウを提供します。
5:「プロジェクトマネジメント」実践講座
「「プロジェクトマネジメント」実践講座」は、プロジェクトマネジメントを「目標設定」「計画」「実行」という3つの視点から学べる書籍です。
豊富な図を使ってプロジェクトの進捗を説明していくため、プロジェクトマネジメントの基本を押さえることができます。心得や方法論だけでなく、プロジェクトマネジメントを実践するための情報や資料が網羅されている一冊です。
6:図解コーチングマネジメント
「図解コーチングマネジメント」とは、コーチングの理論から実践までを学べる書籍です。コーチングとは、組織のパフォーマンスを最大限に活かすための世界的にスタンダードな手法です。
本書ではコーチングのエッセンスを図解にしてシンプルにまとめているため、コーチングの入門書として適しています。組織の変革などを目指すプロジェクトマネージャーにおすすめの一冊です。
プロジェクトマネージャーの役割を理解しよう
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトにおけるすべての責任を持つ役職です。プロジェクトマネージャーにはプロジェクトを成功へ導くという使命があります。
本記事で紹介したプロジェクトマネージャーが持つ役割や役割を果たす上での心得、プロジェクトマネージャーに必要な能力などを参考に、必要なスキルを身につけてプロジェクトマネージャーを目指してみてはいかがでしょうか。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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