客先常駐エンジニアとして働くメリットとデメリットとは?派遣社員との違いも紹介
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客先常駐エンジニアの雇用形態の特徴とは
客先常駐エンジニアは、自分が所属している企業ではなく派遣先の企業が勤務地になります。派遣社員と似たような勤務形態ですが、派遣社員とは契約内容が異なり、雇用形態は「正社員」扱いです。
客先常駐エンジニアの場合、自分が所属する企業と常駐先の企業との間で「請負契約」または「準委任契約」が交わされます。どちらの契約も指揮系統は自分が所属する企業になり、派遣先の企業からの指示では動けません。
自社勤務ではなく派遣先の職場で勤務し、雇用形態は基本的に正社員であることが客先常駐エンジニアの特徴です。
客先常駐エンジニアに関する基礎知識
前述したように、客先常駐エンジニアは出向先の企業と自分の所属する企業との間で「請負契約」または「準委任契約」の労働契約が交わされます。
「請負契約」は成果物を納品することで報酬が発生します。一方で「準委任契約」は技術者の労働時間が報酬の対価になります。
客先常駐エンジニアの契約は「準委任契約」が一般的で、IT業界では「SES契約 (システムエンジニアリングサービス) 」などとも言われています。
派遣社員との違い
客先常駐エンジニアは、雇用形態と労働契約が派遣社員と明確に異なります。
客先常駐エンジニアの雇用形態は基本的には正社員です。そのため、給与やボーナス、福利厚生制度などの待遇面で派遣社員より優遇されています。
また、派遣社員は派遣期間が終了すると契約満了となり給与は発生しません。しかし客先常駐エンジニアは、出向先の派遣期間が終了しても、自分が所属する企業から給与が発生します。
契約に関しては、派遣社員は「労働者派遣契約」で、指揮系統は派遣先の企業です。一方、客先常駐エンジニアは「請負契約」または「準委任契約」で、指揮系統は自分が所属する企業になります。
常駐する期間
客先常駐エンジニアの常駐期間は、数ヶ月から数年と出向先の企業によって異なります。
たとえば出向先で大型のプロジェクトに参加すれば、出向期間は5年や10年になることもあるでしょう。客先常駐エンジニアの常駐期間は出向先の案件次第といえます。
客先常駐エンジニアとして働くメリット7つ
自分の所属する企業ではなく出向先での勤務がメインとなる客先常駐エンジニアは、自社で働く社員とは異なるメリットがあります。
この項目では、客先常駐エンジニアとして働くメリットを7つご紹介します。
- コミュニケーション能力が向上しやすい
- 残業を求められることが少ない
- 新規案件に挑みやすい
- 様々な技術を身につけやすい
- 未経験でもできる案件がある
- 人脈が広がる
- 常駐先企業の強みが分かる
1:コミュニケーション能力が向上しやすい
客先常駐エンジニアとして働くことでコミュニケーション能力が向上するでしょう。客先常駐エンジニアは、様々な顧客とコミュニケーションを取ることに加え、出向先が変わるたびに新しい人間関係を築く必要もあります。
そのような環境では、仕事上のコミュニケーション能力や日常的なコミュニケーション能力が自然に磨かれるでしょう。
2:残業を求められることが少ない
客先常駐エンジニアは残業を求められることが少ない職業とされています。自社の社員にかかる人件費より、外注である客先常駐エンジニアの人件費は高くなります。そのため常駐先の企業は、客先常駐エンジニアの残業を少なくして経費を削減します。
しかし繁忙期は残業が多くなる企業や、人手不足により日常的に残業が多い企業も少なくありません。
3:新規案件に挑みやすい
客先常駐エンジニアのメリットは、新規案件に挑みやすいことです。客先常駐エンジニアは契約が終了すると別の企業へ出向します。常駐先が変われば業務内容も異なり、新規案件に巡り会える機会は多くなるでしょう。
新規案件への挑戦は、スキルアップや仕事のモチベーションアップにもつながります。
4:様々な技術を身につけやすい
様々な仕事を経験できる客先常駐エンジニアは、身につけられるスキルが多い職業と言えるでしょう。常駐先が変われば仕事のやり方はそれぞれ異なり、新しい知識やスキルが身につけられます。
たとえばシステム開発におけるネットワークの構築や運用・保守のノウハウなどは、出向先の企業によってやり方は異なるでしょう。様々な経験とスキルを身につけられることは、客先常駐エンジニアのメリットの一つです。
5:未経験でもできる案件がある
客先常駐エンジニアの仕事には、エンジニア未経験でも対応できる案件があります。もちろん高いITスキルを必要とする仕事もありますが、エンジニアとしての基本的なスキルがあれば働ける案件もあります。
そのため、スキルの高さを求められる社内エンジニアと比べて、客先常駐エンジニアは実務経験がなくても採用されやすい職業と言えるでしょう。とはいえ、エンジニアとして必要最低限のスキルと知識は必要になります。
6:人脈が広がる
社内エンジニアと比べて、客先常駐エンジニアは人と出会う機会が多い仕事であるため、人脈を広げるチャンスが多いことは客先常駐エンジニアのメリットと言えるでしょう。多くの人と交流することでITに関する知識や情報も得られ、公私ともに仲良くなる人ができることもあります。
IT業界でのコネクションを築いたり、様々な人と交流できたりすることは客先常駐エンジニアならではの特徴と言えるでしょう。
7:常駐先企業の強みが分かる
異なる常駐先の業務をこなすことで、様々な企業の強みや特徴を知ることができるでしょう。どの企業にもほかの企業にはない強みを持っています。たとえば、優良企業に常駐すれば職場の雰囲気や特徴を肌感覚で実感できます。
そのような経験は自分の考えや価値観を広げるきっかけになり、ビジネススキルを身につけられるチャンスにもなるでしょう。
客先常駐エンジニアとして働くデメリット8つ
ここまでは客先常駐エンジニアとして働くメリットを紹介してきました。この項目では、客先常駐エンジニアとして働くデメリットを8つご紹介します。
メリットだけでなくデメリットを把握しておくことで、客先常駐エンジニアの仕事をより深く理解できるでしょう。
- 自社へ貢献している実感がわきにくい
- 自社社員と関わることが少ない
- 自社からの評価が得られづらい
- 収入が高くはない
- 頼み事を断りづらい
- キャリアプランが立てづらい
- 誰にでもできるような仕事を振られやすい
- 常駐先ごとにルールが変わる
1:自社へ貢献している実感がわきにくい
自社勤務が少ない客先常駐エンジニアには「自社へ貢献している実感がわきにくい」といったデメリットがあります。
自社に出社する機会が少なく、自分の仕事が自社へ貢献しているといった感覚を感じられにくいこともあります。また勤務地が自社でないため、帰属意識も薄くなりがちでしょう。
2:自社社員と関わることが少ない
常駐先が勤務地である客先常駐エンジニアは、自社の社員との関わりが少ない仕事とされています。そのため同僚や上司との接点が少なく、会社内の人間関係を築きにくいことがあります。
とくに仕事で問題が生じたときや、仕事上の悩みがある場合に相談できる同僚がいないと孤独を感じやすいでしょう。
常駐先の社員と仲良くなる場合もありますが契約期間が終わると職場が変わるため、一過性の付き合いになることも少なくありません。
3:自社からの評価が得られづらい
客先常駐エンジニアのデメリットとして、自社からの評価を得られにくいことも挙げられるでしょう。客先常駐エンジニアの評価は、出向先の企業からの報告によって判断されます。
普段の働きを上司が実際に見るわけではなく出向先の報告だけで評価が決められます。出向先の報告だけで正当な評価がされているのかは分かりづらく、不満に感じる人もいるでしょう。
4:収入が高くはない
社内エンジニアと比較すると客先常駐エンジニアの収入は低い場合があります。比較的高い階層の仕事を請け負う社内エンジニアと比べ、客先常駐エンジニアは三次請けや四次請けの業務が多くなりがちです。
そのため、客先常駐エンジニアの平均収入はエンジニアとしては低い部類とされています。高度なスキルを必要としない案件が多く未経験者でも採用されやすい仕事である一方、平均収入には注意しておくといいでしょう。
5:頼み事を断りづらい
出向先で働くということは、相手方の社員を顧客(お客様)として扱います。そのため、出向先の社員の頼み事は断りづらいのが客先常駐エンジニアの本音でしょう。
相手のリクエストに対して不満がある場合でも断れないケースが多く、またプライベートでの飲み会の誘いなども断りづらいというケースもあります。常にお客様と仕事をしている感覚にストレスを覚える人も少なくないでしょう。
6:キャリアプランが立てづらい
常駐先によって仕事内容が異なる客先常駐エンジニアは、明確なキャリアプランを立てづらい仕事とされています。
自分が思い描くキャリアプランがあったとしても、出向先でそのキャリアプランに必要なスキルや知識を学べない可能性もあります。
もし自分のキャリアプランに見合った出向先で働けたとしても、契約期間が短かったり任せてもらえる仕事が簡単な案件でスキルアップにつながらないこともあるでしょう。
7:誰にでもできるような仕事を振られやすい
出向先の企業にとって、客先常駐エンジニアは外部の人間です。そのため、重要なタスクや難易度の高い業務は自社の社員に割り当て、客先常駐エンジニアには簡単な仕事を割り当てる企業もあるでしょう。
そのような出向先ではスキルアップが難しく経験値を上乗せすることが難しい場合があります。
8:常駐先ごとにルールが変わる
常駐先が変わるたびにその企業の社内ルールを把握して守る必要があります。
企業によっては、細かい規則や特殊なルールを設けている場合もあるため、常駐先が変わるたびに社内ルールをしっかりと確認する必要があります。厳しすぎる社内ルールに不満やストレスを感じることもあるでしょう。
客先常駐エンジニアに向いている人の特徴6つ
客先常駐エンジニアの労働環境は、出向先によってその都度変わります。そのため、環境の変化に対応できる人でなければ勤まらないでしょう。
この項目では、客先常駐エンジニアに向いている人の特徴を6つご紹介します。
- ビジネススキルがある
- 将来起業したいと思っている
- 正社員になりたいと思っている
- スキルアップの意欲がある
- ワークスタイルや生活リズムが変わっても影響がない
- ストレス耐性がある
1:ビジネススキルがある
ビジネススキルが備わっている客先常駐エンジニアは、常駐している企業からの評価が高くなるでしょう。
ビジネススキルの高いエンジニアは、周囲との連携の取り方や仕事への取り組み方に長けています。そのため、客先常駐エンジニアとしての評価も高くなり、場合によっては出向先に引き抜かれることもあるでしょう。
2:将来起業したいと思っている
将来企業したいと考えている人は、客先常駐エンジニアで経験を積むとよいでしょう。
客先常駐エンジニアは、様々な企業に出向するためIT業界での人脈を広げられます。また、幅広いITスキルを学べることも独立する際の助けになるでしょう。
3:正社員になりたいと思っている
エンジニアとして正社員で働きたい人も客先常駐エンジニアにはおすすめです。客先常駐エンジニアは基本的に正社員として採用され、スキルの必要な案件から経験の少ない人でもできる案件まで幅が広いのが特徴とされています。
エンジニア未経験であっても、ある程度のスキルや知識があれば採用してくれる企業もあります。ただし未経験の場合、企業によっては正社員ではない雇用形態からのスタートになる可能性があります。
4:スキルアップの意欲がある
スキルアップの意欲の高い人も客先常駐エンジニアに向いているでしょう。客先常駐エンジニアは多様な案件をこなすため、幅広いスキルを身につけられます。客先常駐エンジニアでスキルを磨けば将来に向けたキャリアアップにつながるでしょう。
5:ワークスタイルや生活リズムが変わっても影響がない
勤務先がたびたび変わる客先常駐エンジニアは、ワークスタイルや生活リズムの変化に対応する必要があります。
たとえば、日勤から夜勤への労働時間が変動したり、出勤場所が自宅から遠くなったりすることもあるでしょう。このような環境変化にストレスを感じにくい人は客先常駐エンジニアに向いている可能性があります。
6:ストレス耐性がある
客先常駐エンジニアは環境が変わりやすく変化の多い職業のため、ストレス耐性のある人が向いていると言われます。たとえば、常駐先では毎日顧客と顔を合わせて仕事をしたり、契約期間が終了すれば次の職場で新しい人間関係を築いたりします。
様々なことが変化する客先常駐エンジニアは、精神的にタフな人が向いている職業と言えるでしょう。
客先常駐エンジニアのメリットとデメリットを把握しよう
客先常駐エンジニアの業務の幅は広く、経験者から未経験者まで働きやすいとされています。また出向先の企業で様々なスキルを学び、多くの人と出会うことで独立を目指すこともできるでしょう。
紹介してきた客先常駐エンジニアのメリットとデメリットを把握したうえで、自身のキャリアプランの参考にしてください。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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