ブリッジエンジニアの役割|求められるスキルやポイントなど詳しく説明
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ブリッジエンジニアとは?
ブリッジエンジニアとは、クライアントに当たる日本企業と、開発に携わる日本国内の地方企業もしくは海外企業の間に入って、円滑に開発が進められるようにサポートするエンジニアです。
ブリッジエンジニアは、システム開発にかかる費用を抑えながらも、品質を落とさずに開発することを考える重要な役割があります。
ブリッジエンジニアが活躍するフィールド
クライアントと別の開発先との調整を行うブリッジエンジニアは、主に2つのフィールドで活躍することになります。ここでは、ニアショア開発とオフショア開発について詳しく紹介していきます。
ニアショア開発
ニアショア開発とは、日本国内で人件費が安い地方に開発を依頼することです。エンジニアの人件費は、東京などの都市部に比べると、地方の方が安いです。人件費を抑えるために、ニアショア開発を行います。
ニアショア開発は地方の日本企業に依頼するため、オフショア開発に比べてコスト削減効果が薄いですが、言語や時差などのギャップを感じることがありません。
オフショア開発
ニアショア開発よりももっと開発費を削減する目的で行われるのが、オフショア開発です。オフショア開発は、海外企業に対して開発業務を委託することです。
日本のエンジニアとそれほど技術力が変わらない場合は、中国やインド、ベトナムなどの海外に開発を委託した方が開発費を安く抑えられます。開発プロジェクトを成功するために、ブリッジエンジニアが尽力します。
ブリッジエンジニアと開発業務を担うSEとの違い
開発業務を担うSEは、システム開発において要件定義や設計業務を行うのに対して、ブリッジエンジニアは、主にオフショア先のエンジニアの取りまとめを行ったり、クライアントの日本企業と調整したりします。
オフショア開発を行う場合は、ブリッジエンジニアの働きが重要なポイントを占めます。
ブリッジエンジニアの6つの役割
オフショア先に発注することが多いのが、開発とテスト業務です。そのため、ブリッジエンジニアが担う6つの役割は、主にオフショア先が行う開発とテスト業務をサポートすることにつながります。
ここでは、ブリッジエンジニアが担うべき6つの役割について詳しく見ていくことにしましょう。
1:プロジェクトや要件定義の説明
ブリッジエンジニアは、始まる前にオフショア先に対して、プロジェクトや要件定義の内容などについて説明する必要があります。プロジェクトを成功に収めるために、オフショア先と仕事の進め方やスケジュールについて詳細に意識合わせをしておきます。
2:開発のプロジェクト管理・進捗
ブリッジエンジニアは、開発に携わっているオフショア先に対して、しっかりとプロジェクトの管理や進捗の確認を行う必要があります。
オフショア先とは時差があるため、確認を取ることがなかなか難しいでしょう。
しかし、オフショア先に完全に任せっきりにせず、メールやコミュニケーションツールなどを活用して、計画通りに進んでいるのかを逐一確認します。その時にトラブルや遅延の可能性があれば、すぐさま対応を講じなければいけません。
3:設計書の翻訳や補足をする
オフショア先のエンジニアに開発をしてもらうために、日本語で書かれた設計書をオフショア先で使われる言語に翻訳します。日本語の設計書をそのまま翻訳しても理解できないことが多いため、オフショア先に対して分かりやすいように補足説明を加えます。
4:完成した納品物のチェック
ブリッジエンジニアは、オフショア先が完成した納品物をバグが無いのか、設計書の仕様を満たしているのか、要求する品質に達しているのかなどをチェックします。
もし納品物に欠陥がある場合は、オフショア先に対してすぐさま修正依頼をかけなければいけません。相手の立場を考えながら、修正してもらえるように交渉します。
5:プロジェクトに関する疑問点や改善提案
オフショア先からプロジェクトに関する疑問点や改善提案が行われることがあります。オフショア先からの疑問点や改善提案に対して、ブリッジエンジニアは対応を図る必要があります。時には、クライアントと交渉するなどして、対応しなければなりません。
6:クライアントへの報告
クライアントである日本企業に対して、進捗や状況などを報告します。その際に課題などがあれば、早めに相談を行います。
オフショア先に伝達したいことを、クライアントの代わりに伝える役割もあるため、クライアントからの指示や要望をきっちりと伝えることが重要です。
ブリッジエンジニアの将来性
日本でIT人材における需給ギャップが起きており、人材不足に悩む企業はとても多いです。将来的に人材不足の状態が続く可能性は高いでしょう。
日本国内で人材不足に悩んでいる中で、海外企業に開発を委託するオフショア開発は増えることが予想されます。オフショア開発が増えれば、それに伴いブリッジエンジニアの需要は高まるため、将来性があるといえます。
ブリッジエンジニアに求められる6つのスキル
ブリッジエンジニアとして業務を行っていくために、必要不可欠なスキルが存在します。ここでは、ブリッジエンジニアに求められる6つのスキルについて詳しく見ていきましょう。
1:コミュニケーションスキル
ブリッジエンジニアとしてプロジェクトを成功に導くためには、語学力を前提としたコミュニケーションスキルが欠かせません。
海外のエンジニアに対して、プロジェクトを前進するために、適切に指示を伝えて理解させることが求められます。とくに、説明力と交渉力が必要になる場面が多くなるでしょう。
ブリッジエンジニアは、クライアントとオフショア先との調整役に当たるため、お互いに対してきちんと伝達事項を橋渡しする必要があります。コミュニケーションのミスを起こして遅延が発生すると、開発コストが上がるため、コミュニケーションを密に取るようにしてください。
>> エンジニアの上手なコミュニケーションの取り方14選|必要とされる要素とは
2:システム開発の知識・経験
ブリッジエンジニアは、オフショア先の開発プロジェクトを取りまとめるため、システム開発の知識・経験が欠かせません。システム開発の一通りの流れを経験しておくと、オフショア先にいろいろと説明する時に役に立ちます。
実際に直接開発に携わることはありませんが、今まで経験した知識を活かして、オフショア先に対して技術指導をすることもあります。
3:高い語学力
オフショア先としっかりと意思疎通を図るために、高い語学力が必要です。一般的に海外企業と仕事をすることになるため、世界共通語である英語の習得は必要不可欠です。英語が公用語でない国であっても、英語が一般的に使われることが多くなります。
一般的に通用する語学力というよりは、システム開発で支障が無いような語学力をつけることが肝心です。
>> エンジニアが英語力を身に付けるメリットとは?レベル別の学習方法も紹介
4:オフショア先の文化・習慣に関する知識
ブリッジエンジニアは、主にオフショア先と円滑にプロジェクトを進めて行く必要があります。オフショア先のエンジニアに対して、信頼関係を構築することが欠かせません。
円滑にプロジェクトを進めるためにも、オフショア先の文化や習慣について知っておいた方が良いでしょう。日本では当たり前のことが、オフショア先では当たり前ではありません。
そのため、オフショア先の文化や習慣を理解した方がお互いにコミュニケーションが取りやすく、プロジェクトをうまく進めやすいです。
5:マネジメントスキル
ブリッジエンジニアは、オフショア先のプロジェクトマネージャを兼務することがあるため、高いレベルでのマネジメントスキルが必要不可欠です。オフショア先のエンジニアとコミュニケーションを取りながら、プロジェクトを成功させることが求められます。
オフショア先のエンジニアに対して対等な立場で扱い、時には毅然とした態度で接する必要があります。どんな時でも現状をしっかりと把握するだけでなく、的確な指示を出すことが肝心です。
6:ITに関する専門知識
ブリッジエンジニアは、最低限開発プロジェクトで使用されるOS・ミドルウェア・ソフトウェア・ハードウェア・プログラミング言語・セキュリティなどに対する専門知識は持っておきたいところです。
オフショア先のエンジニアとコミュニケーションに困らない程度に、ITに関する専門知識を持っておいてください。
ブリッジエンジニアになるためのポイント3つ
ブリッジエンジニアになるためには、何といってもシステム開発の実務経験が欠かせません。ここでは、PGやSEなどからブリッジエンジニアになるためのポイントを3つ紹介します。ぜひとも参考にしてみてください。
1:IT業界の業務経験を積む
ブリッジエンジニアになる場合は、どんな形であれIT業界の実務経験が必要不可欠です。
要件定義や設計などの上流工程から、開発やテストなどの下流工程まで一通り経験を積んでいることが理想になります。さらに、システム開発における予算管理や進捗管理などのマネジメントの経験も欲しいところです。
IT業界の未経験者がいきなりブリッジエンジニアになることは、きわめて難しいため、IT業界の実務経験を積むところから始めてください。
>> IT企業の仕事内容とは?業界に向いている人の特徴や未経験から目指す方法
2:グローバルプロジェクトに携わる
ブリッジエンジニアになりたい場合は、オフショア開発に絡むようなグローバルプロジェクトに携わると良いでしょう。社内にそういう案件がある場合は、積極的に参加することをおすすめします。
オフショア開発を行っていると、思いもよらないトラブルや遅延が発生したりするでしょう。そういうものをメンバーと協力しながら解決することで、経験値を高めることが可能です。グローバルプロジェクトに携わった経験が、ブリッジエンジニアになった時に役に立ちます。
3:資格を取得する
ブリッジエンジニアは幅広い知識が必要になることから、今までやってきた経験や知識を体系化するために、資格を取得することをおすすめします。
具体的に取得した方が良い資格は、下記に紹介する「ブリッジエンジニアになるためにおすすめの資格4選」の中から検討してみると良いでしょう。
ブリッジエンジニアになるためにおすすめの資格4選
ブリッジエンジニアに必須な資格は存在しません。ただ、ITに関する基礎知識やマネジメントスキル、語学力を示すために資格を取ることはおすすめです。ここでは、おすすめの資格を4つ紹介いたします。
1:PMI®
PMIはプロジェクトマネジメントに関する国際資格で、日本企業だけでなく海外企業からも評価される資格です。ブリッジエンジニアとして活躍したい場合は、目指してみると良い資格になります。
実際に受験するためには、学歴とプロジェクトマネジメント経験の2つの要件を満たす必要があります。また、資格を取得した場合でも、3年ごとに更新手続きをしなければいけません。
出典:PMI® 試験・資格について|PMI日本支部
参照:https://www.pmi-japan.org/pmp_license/
2:TOEIC® Listening & Reading Test
英語の語学力を証明したり、英語の学習を効率的に進めたりしたい場合は、TOEICの受験を検討してみてください。TOEICは、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)が主催する英語の試験です。
TOEICの試験の種類で多くの人が受験するのは、聞くスキルと読むスキルを判定する「Listening&Reading Test」になります。
TOEIC Listening&Reading Testは、リスニング約45分間・100問、リーディング75分間・100問の合計約120分・200問です。結果はリスニング・リーディング共に5点~495点のスコアとその合計スコアが表示されます。
出典:TOEIC® Listening & Reading Test|IIBC
参照:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr.html
3:プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験(PM)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験です。この試験は、開発プロジェクトを成功に導くためのマネジメントスキルがあることを証明します。
ブリッジエンジニアは、オフショア先のプロジェクトマネジメントを行うため、プロジェクトマネージャ試験に合格すると高い評価を受けやすいです。
プロジェクトマネージャ試験は毎年10月に行われ、午前1・2、午後1・2、の4つの試験でそれぞれ60%以上の点数を取得する必要があります。午前1・2はそれぞれ四肢択一方式、午後1は記述式、午後2は論述式の試験です。
>> プロジェクトマネージャ試験の勉強の7つのポイント|合格率や難易度も解説
出典:プロジェクトマネージャ試験(PM) ~ ITプロジェクトの成功請負人 ~|IPA
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html
4:応用情報技術者試験
プロジェクトマネージャ試験と同様に、IPAが行っている国家試験として応用情報技術者試験(AP)があります。応用情報技術者試験は、ある程度実務経験を積んだエンジニアがワンランク上を目指すのにふさわしい試験です。
合格すると、応用力があるエンジニアとして高い評価を受けます。
応用情報技術者試験は、4月と10月の年2回受験する機会があります。試験時間は午前・午後共に150分間です。午前は四肢択一方式で80問を解くのに対して、午後は記述式で11問中5問を解きます。
出典:応用情報技術者試験(AP) ~ ワンランク上のITエンジニア ~|IPA
参照:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/ap.html
グローバルに活躍するブリッジエンジニアを目指そう
これまでブリッジエンジニアの役割や求められるスキルなどについて解説してきました。ブリッジエンジニアは、これから増える可能性が高いオフショア開発を成功に導くために必要な仕事です。
少しでも海外のエンジニアと仕事をすることに興味があったり、語学力をベースにしたコミュニケーションに自信があったりするならば、グローバルに活躍できるブリッジエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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