プログラミングスキルが就職へ有利になる理由|スキルの取得方法も紹介
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プログラマーの就職動向
経済産業省が2019年に発表した「IT人材需給に関する調査(概要)」によると、2030年には45万人の人材が不足すると予測されています。
また、IPA(情報処理推進機構)が示した「IT人材白書2020」によると、2019年の時点で人材の量が不足しているIT企業は93.0%、質が不足しているIT企業は92.1%になっています。
近年わが国では、競争力強化や生産性向上のためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を速やかに進めていくことが求められています。その結果、プログラマーを含めたIT人材の慢性的な不足が続き、高い需要を維持していると言えるでしょう。
出典:「IT人材需給に関する調査(概要)」|経済産業省
参照:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
未経験でも就職できる傾向にある
上記のような背景から、未経験でもプログラマーとして就職できる傾向にはあります。採用担当者は、専門的なプログラミングスキルや知識、経験だけで採用を決めるわけではありません。
その他の面で魅力が感じられれば、就職が決まるケースは珍しくないでしょう。
難易度は下がっている傾向にある
DXの推進、慢性的な人材不足などの理由により、プログラマーの就活の難易度は下がっている傾向にあります。また、理系や文系にかかわらずチャレンジできるなど、プログラミングへの学習のハードルも下がっていると言えるでしょう。
特に、若くて意欲のある求職者は、プログラミング経験が未熟だったとしても、伸びしろに期待される傾向があります。また、30代以上であっても、業務への高いモチベーションやポテンシャルをアピールできれば、就職が可能なケースもあるでしょう。
プログラミングスキルが就職へ有利になる理由7つ
プログラマーを志望して就活する際、当然ながらプログラミングスキルを持っていることで有利になります。しかし、プログラマーは、未経験でも文系でもなることができます。
プログラミングスキルが就活で有利になる理由を見ていきましょう。
1:仕事を自動化できる人材は貴重なため
業務効率化のためには作業の自動化が有効です。そして、作業の自動化にプログラミングスキルは欠かせません。プログラミングは専門知識のない人ができる単純作業から、複雑なツールの作成までさまざまな場面で活用できます。
社内専用の事務処理システムは人為的ミスの軽減と人件費の削減につながります。さらに、今後はロボットによる業務の自動化「RPA(Robotics Process Automation)」なども進んでいくでしょう。
2:人材不足で売り手市場なため
前述したとおり、プログラマーを含むIT人材は慢性的な不足が続いています。そして、当面プログラマーの売り手市場が続くことが予想されています。
今後、日本社会において問題となっている少子高齢化はプログラマーの不足に拍車をかけています。さらに、AIやクラウド、RPAなどの知識や技術を持つエンジニアの需要も増加してくるでしょう。
3:即戦力になりやすいため
プログラマーは未経験でもなることができます。特定の資格を持たなければ業務に就けない、また理系でなければ業務に就けない、といった職種ではありません。
しかし、プログラミングスキルを持つ経験者のほうが有利になるでしょう。プログラミングの知識や経験がある人材を採用すれば、即戦力として現場で業務にあたってもらえます。
4:企業がITに関わる部署を任せたいと思っているため
プログラミングスキルを持っている人材は、企業にとって即戦力になるだけでなく、ITに関わる部署を任せられる貴重な人材であると認識されます。
官民一体となって進められているDXを推進する企業が増えている中で、新しくIT専門の部署を立ち上げたり、IT専任者の雇用を考えたりする際、プログラミングスキルは大きな武器になります。
5:企業にとってIT基礎教育のコストと時間がかからないため
ITに関する基礎知識やITリテラシーに関する教育にかけるコストと時間を節約できることは、企業にとって大きなメリットです。
また、プログラミングスキルを身に付けるには、膨大な時間をかけて勉強し続ける向上心と忍耐力が必要です。そのため、プログラミングスキルを持っている人にはその精神力が備わっていると、企業側から判断してもらえるでしょう。
6:新卒や若手はポテンシャル採用が重視されるため
新卒や若手の求職者に対しては、プログラミングスキルや経験が未熟であっても、意欲があれば吸収力が高いと判断されたり、伸びしろに期待されたりする傾向があります。
このようなポテンシャル(潜在能力)採用では、基本的に入社後の研修などを通して、知識を付けてスキルを磨くことを前提としています。
しかし、30代以上になると、ポテンシャル(潜在能力)採用は減り、スキルや資格を持たない人材の採用は難しくなるでしょう。そのため、ある程度のプログラミングスキルを取得して転職活動に臨まなければ、若手に打ち勝つのは難しいでしょう。
7:異なる業種でのニーズも高いため
ITは今や社会全体を支える重要なインフラであり、どの業種でもITの恩恵を受けています。そのため、IT産業ではない異業種においても、プログラマーのニーズは高いでしょう。
たとえば、経済産業省が掲げる「キャッシュレス・ビジョン」によって、今後は電子決済などが普及していき、経済活動を行うすべての場面でITが活用される可能性があるでしょう。
また、IoTによって工場などの生産現場でもITが求められます。そして、ITが活用される場面にはセキュリティ対策が欠かせません。
プログラマーとシステムエンジニアの仕事内容の違い
プログラマーは仕様書に基づいてプログラミング(コーディング)を行うのが仕事です。一方、システムエンジニアはクライアントへのヒアリング、システムの要件定義と設計、仕様書の作成、テスト、保守などを行います。
プログラマーはプログラミングに関する知識やスキルのほかに論理的思考力や集中力が、システムエンジニアはコミュニケーション能力やマネジメント能力が求められます。
また、ITのトレンドを意識して常に最新技術を学び続ける向上心が必要なのは、両者ともに共通しているでしょう。
>> システムエンジニアとプログラマーの違いとは?仕事内容や必要なスキルを解説
プログラミングスキルを身に付けて就職を目指す際のポイント
プログラマーはプログラミングスキルを身に付ければすぐになれる、もしくはプログラミングだけしている、と思われがちですがそれ以外にも重要な要素があります。
プログラミングスキルは就職に際して有利に働きますが、プログラミングスキルは必要な要素の一部と考えていたほうが良いでしょう。
プログラマーになるにあたって理解しておくポイントを紹介します。
- 最新技術やITトレンドの情報収集に取り組む
- 楽な仕事ではないと心得る
最新技術やITトレンドの情報収集に取り組む
ITに関する技術革新や発展はきわめて早く、少し情報収集を怠るだけで最新技術についていけなくなってしまいます。
そのため、プログラマーにとってITトレンドや最新技術に関する情報収集は欠かせません。最新の情報を身に付けているか否かで、自分の市場価値が変わります。
一方で、プログラマーなどのITエンジニアは激務な場合が多く、情報収集の時間を捻出するのが難しい場合も多いでしょう。
楽な仕事ではないと心得る
人材不足の傾向にあるプログラマーは、常に納期に迫られながら業務をこなすという過酷な状況である職場も珍しくありません。
その中で、その職場ならではのルールやプログラミングに関する高い専門知識を身に付けつつ、さらに最新技術を学び続ける必要があります。
また、納期間近にバグやエラーなどが生じることも多々あります。不具合が起きても勝手に納期延長はできないため、残業してでも解消する必要に迫られるでしょう。
就活する際は、過酷な状況に耐えうる覚悟が必要になるでしょう。
プログラミングスキルの取得方法
プログラミングを学ぶ人が増加していることもあり、現在プログラミングを学びたい人は多くの方法から選ぶことができます。特に、未経験者や初心者にとって少しずつ学習のハードルが下がってきています。
自分の性格や経済的状況などを考慮して、自分に合った方法を選びましょう。
プログラミングスクールを活用する
プログラマーを目指す場合は、プログラミングスクールを活用すると、効率的にスキルを高められるでしょう。講師の指導を直接受けられるため、理解できない部分はその都度質問もできます。
費用はオンライン講座やアプリで学ぶよりも高くなりますが、より効率的にプログラミングスキルを高められるでしょう。また、プログラミングスクールではさまざまなコースが設けられています。
>> 無料体験・カウンセリングがあるプログラミングスクール12選!メリットも解説
資格取得とあわせて勉強する
プログラミングスキルを身に付けるには膨大な時間が必要になり、途中で挫折する人も珍しくありません。しかし、資格取得のために勉強すれば、モチベーションの維持に役立ちます。
また、資格取得にあわせて勉強すると、プログラミングの知識を体系的に学べるというメリットがあります。
独学での勉強は、自分の好みや知識レベルに合わせた知識だけを学びがちになり、勉強内容が偏る可能性があるでしょう。しかし、プログラミングの資格勉強を通して幅広い内容を体系的に学べます。
>> プログラマーをめざす人におすすめの9つの資格試験|年収や将来性もチェック!
プログラミングスキルを身に付けると有利になる就職先7つ
一概に「IT業界」と言ってもその職種は多岐にわたり、プログラミングスキルが役立つ企業も膨大にあります。
>> IT企業の仕事内容とは?業界に向いている人の特徴や未経験から目指す方法
IT企業でのシステム開発をしている人だけがプログラミングをしているわけではなく、異業種でもニーズは高いため、幅広い業種を対象範囲にできるでしょう。
プログラミングスキルを身に付けると有利になる就職先について解説します。プログラマーを目指す段階で、自分が活躍したい分野を考えておくと良いでしょう。
- インターネットサービス会社
- ソフトウエア会社
- Web系受託開発会社
- ITコンサルティング会社
- SES企業
- SIer企業
- フリーランス
1:インターネットサービス会社
インターネットサービスを提供する会社のWebプログラマーは、主にWeb上で使われるシステムの開発に携わります。
クライアント側(フロントエンド)、サーバー側(バックエンド)、データベースなどに関わるプログラミングスキルが求められるでしょう。
WebサイトやECサイト、各種SNS、スマートフォンアプリなど、Web開発の仕事は多種にわたり、需要は増加しています。
2:ソフトウェア会社
ソフトウェアを制作する会社のプログラマーは、コンピュータ上でさまざまな処理を行うソフトウェアの開発、構築に関わります。
パソコンにインストールして使用するソフトウェアだけでなく、家電や自動車などのハードウェアとソフトウェアが一体となった製品もあります。
ソフトウェアはインターネットに接続しなくても使え、定期的なバージョンアップが必要になるという点が特徴です。また、パッケージソフトは多数のユーザーがおり、多くのユーザーの課題解決に役立っています。
3:Web系受託開発会社
Web系受託開発とは、クライアントからWeb系の開発業務を受注し、システムやソフトウェアを開発することです。人材不足や技術力がないために自社開発できない企業がクライアントです。
ECサイトやオンラインゲーム、オンライン決済システムなど、Web系の受託システムは多岐にわたるため、要求されるスキルは案件によります。
案件は比較的安定していますが、下請けと位置づけられ、納期や費用の面で理不尽な要求をされることもあります。
4:ITコンサルティング会社
ITコンサルティング会社は、クライアントが抱える経営課題について、ITの側面から解決策や戦略を提案し、改革を支援します。
たとえば、業務の削減や業務管理の改善などは、システムのパッケージを導入することで解決することもあります。
システム導入において、ITコンサルタントが主に上流工程(要件定義や設計など)を担い、プログラマーは下流工程の担当です。
ITコンサルティング会社に就職するとコンサルタント業務を間近に見られ、プログラマーからシステムエンジニア、そしてITコンサルタントと、キャリアアップしていくモチベーションを得られるでしょう。
5:SES企業
SES企業とはSystem Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、エンジニアの労働を提供する企業です。 SES企業のITエンジニアは、クライアント企業に派遣され、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用に携わります。
プロジェクトを終えると派遣先を異動することになるため、さまざまな業種や言語を使い、多種多様なシステム開発を経験できます。一方で、特定の分野を究めたいプログラマーには不向きと言えるでしょう。
6:SIer企業
SIer(エスアイヤー)企業とはSystem Integrator(システムインテグレーター)の略称で、主にシステム開発などのSI(システムインテグレーション)を行う企業を指します。
>> SIerの企業11社の売上と年収を紹介|構造や選び方もあわせて紹介
SIとは、ITシステムの設計・開発・運用・保守までを一括契約して提供することです。SIer企業は、ITベンダー企業もしくはシステム開発会社とも呼ばれます。
SIer企業も、企業ごとに得意・不得意があるため、扱う言語やフレームワークも異なるでしょう。
7:フリーランス
プログラマーは、企業に属さずにフリーランスとして独立することも可能です。フリーランスになれば、企業の給料以上の収入を得られたり、自由な働き方ができたりします。
>> フリーランスエンジニアのメリットやデメリットは?準備しておきたいことも解説
ただし、フリーランスになるには、プログラミングスキルに加えて経験や実績、人脈、営業力などが必要になるでしょう。独立する際は、メリット・デメリットを踏まえて決めましょう。
IT企業へ就職するなら押さえたいプログラミング言語の選び方3つ
プログラミング言語は200種類以上あると言われており、開発できるシステムやアプリケーション、習得する難易度が異なります。すべてのプログラミング言語を学ぶことはできないため、その中から自分に適した言語を学ぶ必要があるでしょう。
>> 効率のいいプログラミングの勉強法とは?言語別やツール別に分けて紹介
IT企業への就職を希望している人が押さえたいプログラミング言語の選び方を紹介します。
1:目的にあわせて選ぶ
プログラミング言語によって制作・開発できるものが異なるため、自分が作りたいもの、開発したいものによって選ぶ言語が変わってきます。
たとえば、スマートフォンアプリの開発を目的とする場合、iPhone向けならばSwift、Android用ならばJavaやKotlinなどを学ぶと良いでしょう。
また、Webアプリの開発やWebサイトの制作にはJavaScript、Ruby、PHPを、AIや機械学習の場合はPythonまたはRを学習すると良いでしょう。
2:求人数の多さで選ぶ
求人数もプログラミング言語によって大きく異なります。求人数の多さで選ぶなら、Javaがおすすめの言語です。
Javaはプラットフォームに依存しないプログラミング言語であり、汎用性が高いことから多くの分野で幅広く活用されているため、もっとも広く使用されています。
その他、Webサイトの開発などで使用されるJavaScriptとPHP、AI開発や機械学習などで使用されるPythonも求人数の多い言語です。
3:需要の高さで選ぶ
現場での需要が高く、将来性のあるプログラミング言語を選んで習得すると、就職や転職により有利になるでしょう。
近年ではスマートフォンアプリの開発案件が増えているため、これらの開発に使用されるSwiftやKotlinを学ぶのも1つの方法です。また、最近のトレンドとして、人工知能活用の広がりにともなってPythonの需要も増加しています。
プログラミングスキルを身に付けて就職を有利に進めよう
プログラミングの専門的な知識や経験がなくても、ITエンジニアにはなれます。とは言え、需要が高いプログラミングスキルや最新技術を身に付けたプログラマーは、高い市場価値を維持できることが予想できるでしょう。
需要が高いプログラミングスキルを身に付け、就職を有利に進めましょう。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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