バックエンドエンジニアとは?仕事内容や求められるスキル・年収について解説
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バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアとは、WebアプリケーションやWebサービスの裏側で動くシステムを開発・運用するエンジニアです。
ユーザーが目にする画面(フロントエンド)とは異なり、ユーザーからは直接見えない部分を担当します。
具体的には、サーバーサイドのシステム構築、データベースの設計・構築・運用、セキュリティ対策、パフォーマンス改善などを行い、WebアプリケーションやWebサービスが快適に利用できるようにします。
バックエンドエンジニアが手掛ける仕事の例には以下のようなものがあります。
- 電子健康記録システム(医療系)
- モバイルバンキングアプリ(金融系)
- リアルタイム交通情報システム(交通系)
- 映画のストリーミングサービス(エンターテイメント系)
- スマート農業システム(農業系)
- プロパティ管理ソフトウェア(不動産系)
患者の記録を安全に格納し、医療スタッフが必要に応じて迅速にアクセスできるようなデータベースの設計と管理を行います。
銀行のモバイルアプリで、ユーザーが自分の口座残高を確認したり、支払いを行ったりできるようにするためのバックエンドの設計と実装を行います。実際にはAPIの設計、データベース管理、そしてセキュリティ対策を行います。
リアルタイムの交通情報を提供するアプリケーションでは、各車両の位置情報を追跡し、それをユーザーに表示するためのシステムを構築します。
映画のストリーミングサービスでは、映画のアップロードと配信、ユーザーの視聴履歴の追跡、推奨アルゴリズムの開発などを手掛けます。
IoTデバイスを活用したスマート農業では、バックエンドエンジニアはセンサーデータの収集と分析を担当します。これにより、肥料の使用量や水やりのタイミングなどを最適化し、生産効率を向上させます。
物件のリストを管理し、家賃の収集やメンテナンスリクエストの処理など、プロパティマネージャーの業務を支援するソフトウェアを開発します。
バックエンドエンジニアの他にフロントエンドエンジニアやサーバサイドエンジニアなどの職種があります。ここではバックエンドエンジニアと他のエンジニアの違いを説明していきます。
サーバサイドエンジニアとの違い
サーバサイドエンジニアは、名前の通りサーバサイドを担当するエンジニアです。仕事内容は、バックエンドエンジニアとほぼ変わりません。強いて違いを挙げるとすれば担当領域の違いです。
バックエンドエンジニアは主にWeb関系で使用されることが多い言葉で、サーバサイドエンジニアはWeb関係だけでなくIT関係でも使用される言葉です。
フロントエンドエンジニアとの違い
フロントエンドエンジニアはバックエンドエンジニアとは逆で、目で見える部分(フロントエンド)を担当するエンジニアです。
フロントエンドエンジニアはデータベース処理などをしないため、バックエンドエンジニアとは使用するプログラミング言語が異なります。フロントエンドエンジニアが使用するプログラミング言語は、主にHTML、CSS、JavaScriptなどが挙げられます。
Webサイト制作ではフロントエンドとバックエンドはどちらも必要になります。そのためフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアはお互いに協力しながらWebサイト制作を行っていきます。
バックエンドエンジニアの仕事の流れ
バックエンドエンジニアの仕事の流れは以下になります。
- 要件定義
- 設計
- 開発・テスト
- 運用・保守
ここでは、あるオンラインショッピングサイトの新機能「商品レビュー機能」を追加するプロジェクトで解説します。
要件定義
まずは、必要な機能の詳細を明らかにするための要件定義を行います。
「商品レビュー機能」では、ユーザーが商品に対して評価を投稿でき、その評価が他のユーザーに表示されることが基本的な要件になります。
その他にも、評価の平均値を計算して表示する、レビューのフィルタリングやソート機能を追加するなど、具体的な機能要件をリストアップします。
設計
上記の要件を満たすための詳細な設計を行います。
この例であれば、データベースに新しい「レビュー」テーブルを追加し、それが「ユーザー」テーブルと「商品」テーブルとどのように関連付けるかを設計します。
また、レビューを投稿・取得するための新たなAPIを設計します。
APIとは「アプリケーションプログラミングインターフェース(Application Programming Interface)」の略で、システムやアプリケーション同士が互いに情報を交換するための仕組みを指します。
オンラインショッピングサイトに商品レビュー機能を追加する場合、ユーザーがレビューを投稿するとき、ウェブサイトのフロントエンド(見た目の部分)はバックエンドのシステム(データを処理する部分)に「この商品にこのレビューを追加して」という情報を送ります。
この情報の送り方やフォーマットを定義しているのがAPIです。バックエンドは、その指示を受け取り、データベースにレビューを保存します。
開発・テスト
設計に基づいて実際のコーディングを行います。
Python、Javaなどのプログラミング言語を使用し、新たに設計したAPIの実装やデータベースの更新を行います。
開発した機能が要件を満たすことを確認するため、単体テストや結合テストを行います。またAPIが正しく動作し、データベースとの連携も適切に行われているかも確認します。
運用・保守
開発とテストが無事終了すれば、作成した機能を本番環境にデプロイ(配置)します。
その後も継続的にモニタリングを行い、エラーや不具合が発生した場合は速やかに修正を行います。また、ユーザーからのフィードバックに基づいて機能の改善を行うこともあります。
これらが運用・保守のフェーズとなります。
以上がバックエンドエンジニアの仕事の流れとなります。
バックエンドエンジニアに求められる6つのスキル
バックエンドエンジニアの仕事の流れについてお伝えしてきました。バックエンドエンジニアとしてこれらの業務を行う上で、豊富な知識やスキルは必要不可欠です。
ここからはバックエンドエンジニアに求められる6つのスキルについて解説していきます。未経験の方は必要スキルを把握し、勉強していきましょう。
1:プログラミングに関する知識
システム開発などはプログラミングによって行うため、プログラミングに関する知識が必要です。
バックエンドエンジニアが扱うプログラミング言語は種類が豊富で、案件によって使い分ける必要があります。
主なプログラミング言語としては、Java、Python、PHP、Rubyなどが挙げられます。
未経験の方がいきなり複数の言語を習得するのは困難です。そのため、まずはひとつの言語を習得して、実務経験を積みながらその他の言語を習得していく方法がおすすめです。
2:クラウドに関する知識
最近のバックエンドエンジニアはクラウドを利用する機会が多いため、クラウドの知識・スキルは習得しておきましょう。
「クラウド」は、インターネットを通じて提供される様々なアプリケーションやサービスを指す用語です。
ストレージ、データベース、サーバー、ネットワーキング、ソフトウェア、分析ツールなど非常に幅広い範囲をカバーしています。
クラウドは物理的なコンピューターやサーバーのハードウェアを個々に設定・管理する必要がなく、リモートからアクセスできることが大きな特徴です。
主なクラウドサービスとしては、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP) などが挙げられます。
3:データベースに関する知識
データベースは、大量のデータを効率的に保存・管理するためのシステムです。
バックエンドエンジニアは、データベースの設計・構築・運用方法を理解し、システムに必要なデータベースを構築する必要があります。
主なデータベースとしては、MySQL、PostgreSQL、Oracle などが挙げられます。
4:サーバーに関する知識
サーバーは、コンピューター・システムをインターネットに接続するためのシステムです。
バックエンドエンジニアにはサーバーの設計・構築の業務もあるため、サーバーの種類や仕組みを理解し、システムを構築・運用する必要があります。
主なサーバーの種類としては、Webサーバー、アプリケーションサーバー、データベースサーバーなどが挙げられます。
5:フレームワークに関する知識
フレームワークは、プログラミングの効率化を図るためのツールです。
フレームワークを使用することで、開発にかかる時間やコスト、バグを減らすなど様々なメリットがあります。
バックエンドエンジニアは、フレームワークの種類や特徴を理解し、システムを開発・運用する必要があります。
主なフレームワークとしては、Spring、Django、Laravel などが挙げられます。
6:ミドルウェアに関する知識
ミドルウェアは、異なるシステム間の接続やデータのやり取りを管理するシステムです。
バックエンドエンジニアは、ミドルウェアの種類や仕組みを理解し、システムを構築・運用する必要があります。
ミドルウェアはオープンソースで公開されているものも多く、バックエンドエンジニアの中では標準的なスキルとされています。
主なミドルウェアとしては、Apache、Nginx、MySQL などが挙げられます。
バックエンドエンジニアにおけるやりがいとは?
バックエンドエンジニアの仕事はWeb制作の根幹を担っているため、豊富な知識やスキルが求められます。またインフラエンジニアなどは夜勤もあります。
一見するとバックエンドエンジニアは難易度が高く、きつい仕事のようですが、多くの魅力に溢れた職種でもあります。ここでは、バックエンドエンジニアにおけるやりがいを紹介します。
様々な人とコミュニケーションを取るとき
バックエンドエンジニアは、プロジェクト立ち上げから公開後の運用まで、広い範囲を担当します。その中でプロデューサーやフロントエンドエンジニア、デザイナーなど様々な人と連携しながら業務を行うため、チームプレーが好きな人は大きなやりがいを感じることができます。
プロジェクトを終えたとき
バックエンドエンジニアは、Web制作において幅広い範囲を担当する職種です。前述の通りプロジェクト立ち上げから参画することも多々あります。そのため、ひとつのプロジェクトを終えた際には、他の職種以上にやりがいを感じることができるでしょう。
バックエンドエンジニアに向いている人
バックエンドエンジニアリングでは、システムの安定性やパフォーマンスに大きな影響を与える細かい要素に気を配ることが求められます。
一見すると小さな問題も、全体のシステムに悪影響を及ぼす可能性があるためです。
そのため、細かいところまで気配りができる人がバックエンドエンジニアに向いていると言えます。
また勉強熱心でエンジニア業務の中でも保守・管理業務が好きな方がバックエンドエンジニアに向いています。
関連記事:バックエンドエンジニアに向いている人とは?適性や必要なスキルについて解説
未経験からバックエンドエンジニアになるためのロードマップ
Web制作の市場は拡大傾向にあり、需要も高まっています。その中でバックエンドエンジニアを目指す方法はいくつか存在します。方法によって雇用形態や今後のキャリアが変わってくるため、自分にあった方法を選択しましょう。
基礎知識を学ぶ
バックエンドエンジニアとしてのキャリアを始めるための最初のステップは、プログラミングとシステム設計の基礎知識を習得することです。
まずはPythonやJavaといった主流なプログラミング言語から始めましょう。
同時に、Webサービスの基本的な仕組みやデータベースシステム、サーバーシステムについても習得しておきましょう。
ポートフォリオを作成する
ポートフォリオは、自身のスキルやプロジェクト経験を示すための重要な資料です。
ポートフォリオに自作のシステムやアプリケーションを載せることでスキルの証明になります。
実際にはECサイトやSNSアプリといったバックエンドの処理が高度なアプリケーションを作成してみるのがおすすめです。
転職活動をする
実際にエンジニアの職を探すフェーズに移ります。
大事なのは未経験でも採用してくれる求人を見つけ出すことです。
転職サイトや転職エージェント、LinkedInを活用して、自分にマッチしたポジションを見つけましょう。
バックエンドエンジニアになるための学習方法
バックエンドエンジニアとして具体的な学習方法や経験を積む方法をいくつかご紹介します。
独学で学ぶ
こちらは書籍やオンライン講座、Webサイトなどを活用して独学する方法です。
独学は自分のペースで学べる利点がありますが、モチベーションの管理などが重要となります。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールに通うことで、効率的にプログラミング言語やデータベース、インフラについて学ぶことができます。
また、スクールによっては、ポートフォリオ作成や転職サポートなどを行ってくれるところもあります。
インターンに参加する
学生であればインターンに参加することで、実際の現場で経験を積むことができます。
実際のプロジェクトに参加し、経験豊富なエンジニアから直接学べるのが大きなメリットです。
また、実際のビジネス環境での開発の流れを学ぶことができます。
エンジニアコミュニティに参加する
オンラインまたはオフラインのコミュニティに参加することで、同じ目標を持つ他の学習者や経験豊富なエンジニアから学ぶことができます。
また、新しいアイデアを共有し、新しい技術のトレンドを把握することも可能です。
バックエンドエンジニアの5つのキャリアパス
バックエンドエンジニアへの求人は今後も増加していくことが予想されます。そのため転職などによる給料アップも期待できます。
バックエンドエンジニアは業務範囲が非常に広いため、キャリアプランとしては他のエンジニアへの転職よりも、スキルアップを行い市場価値を高めるのが一般的です。ここからはバックエンドエンジニアのキャリアパスの例を5つ紹介していきます。
1:フルスタックエンジニアについて
フルスタックエンジニアとは、システム開発やWeb開発の全ての工程を担えるエンジニアのことです。一人でほぼ全ての業務に対応できるため非常に重宝されます。
フルスタックエンジニアになるには、バックエンド領域の知識以外にもフロントエンド領域のプログラミング言語やクラウドの知識など幅広い知識が必要とされます。
2:セキュリティエンジニアについて
セキュリティエンジニアとはサーバー関連の業務や情報セキュリティ業務に特化したエンジニアのことです。セキュリティを考慮したシステムを構築して、サイバー攻撃からシステムを守ります。セキュリティエンジニアになるには、サーバーやOSについての専門知識が必要になります。
3:ITコンサルタントについて
バックエンドエンジニアからITコンサルタントにキャリアチェンジすることもできます。ITコンサルタントとは、クライアント企業のIT分野に対してアドバイス業務やシステム導入支援を行うコンサルタントのことです。
ITコンサルタントになるためには、企業が抱えている問題へのヒアリング能力や解決方法の提案実績が必要です。バックエンドエンジニアからのキャリアチェンジを狙うのであれば、クライアントの要望に沿った要件定義ができる能力が必要です。
4:プロジェクトリーダーについて
バックエンドエンジニアからプロジェクトリーダーにキャリアアップすることもあるでしょう。プロジェクトリーダーとは、システム導入などのプロジェクトの際、プロジェクト全体の管理・統括を行う職種です。
プロジェクトリーダーは全体の管理を行うため、システム全般の知識、スキルが必要になります。また、統括職でもあるためマネジメントのスキルも必要になります。
5:プロジェクトマネージャーについて
プロジェクトリーダーと似た職種でプロジェクトマネージャーという職種があります。プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体の進捗を管理し、納期までに遂行できるようにマネジメントする職種です。プロジェクトの計画から行い、問題が発生した際の対応なども行います。
プロジェクトマネージャーにはプロジェクトリーダーと同様に、システム全般の知識・スキル、マネジメントスキルが必要とされます。
関連記事:バックエンドエンジニアにおすすめのキャリアパスとは?具体例についても解説
バックエンドエンジニアの年収について
バックエンドエンジニアの年収相場は雇用形態や企業ごとに異なります。企業勤めの場合の年収相場は300万円〜600万円程度です。資格や役職がある場合には1,000万円程度になることもあります。
フリーランスの場合には平均月収が60万円〜80万円程度で、平均年収は720万円〜960万円程度となります。実績が増えると案件単価の増加などにより収入が増えていきます。
バックエンドエンジニアの詳しい年収や報酬アップの方法については以下の記事に詳しくまとめていますので参考にしてください。
>>バックエンドエンジニアの平均年収は?収入アップさせる方法についても解説
バックエンドエンジニアの将来性
IT技術の発展に加え、新型コロナウィルス感染症の影響で多くの企業がリモートワークを採用するなど、様々な業界でIT技術を取り入れる動きがあります。これらの動きは今後さらに活発になることが予想されます。
一方でIT業界やWeb制作業界のエンジニア人材は不足している状態です。そのため、今後バックエンドエンジニアの需要はさらに高まり、将来性にも期待できます。
またバックエンドエンジニアは、キャリアパスの選択肢が多いのも魅力的です。
一方でバックエンドエンジニアとして活躍し続けるには、技術の進化に合わせて新たな知識・スキルを習得することが必要です。
関連記事:バックエンドエンジニアの将来性は?AIに奪われる?キャリアアップについても解説
バックエンドエンジニアを目指そう
ここまでバックエンドエンジニアの仕事内容や必要スキル、年収などについて解説してきました。バックエンドエンジニアはWebサービスやアプリケーションでシステムの根幹を担う非常に重要でやりがいがあり、将来性も期待できる職種です。
バックエンドエンジニアとして活躍したい場合、まずは必要スキルを習得する必要があります。この記事で紹介した方法などを参考にして必要スキルを習得し、バックエンドエンジニアを目指しましょう。
【著者】
東京ITカレッジで講師をしています。
Java 大好き、どちらかというと Web アプリケーションよりもクライアントアプリケーションを好みます。でも、コンテナ化は好きです。Workteria(旧 Works)ではみなさまのお役に立つ情報を発信しています。
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